耳鼻科と小児科、どっちを受診??

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保護者
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鼻水の風邪なのですが、耳鼻科と小児科のどちらを受診するのがいいでしょうか?

診察の場面でこのような質問を受けることが良くあります。

私の結論は「小児科」なのですが、そこに至る理由はシンプルではありません。
その理由について丁寧に説明していきます。

なぜ病院を受診するの?

大前提なのですが、今回の親御さんは「鼻水の風邪です」と断定しています。

本当に「鼻水の風邪」で間違いがないのであれば、正直なところ小児科でも耳鼻科でも、さらに言えば病院を受診しなくとも、結果は変わらないことがほとんどです。

なぜなら、「風邪」を治す薬はなく、あるのはあくまでも症状を和らげる薬だけです。症状を和らげるといっても、全くゼロにすることはできませんし、自分の免疫で自然に良くなるのを待つしかありません。

私が考える、風邪で病院を受診する意義は、「本当に風邪でいいのか?治療すべき病気が隠れていないか?」を判断することにあると思っています。その結果、「やっぱり風邪ですね」となれば、小児科でも耳鼻科でもできることは限られています。

風邪じゃないとするとなにがあるのか?

風邪をきっかけとして二次性の感染症を起こすことがあります。
代表的なものは、肺炎と中耳炎です。これらはいわゆる風邪と違い、抗生物質が必要なものもあります。

それから、風邪と思っていても実は別の病気ということもあります。代表的なものは尿路感染症や川崎病があります。頻度は少ないですが、心筋炎や髄膜炎などの怖い病気もあります。

小児科の長所

小児科は子どもの病気全般を診る診療科のため、いろんな病気の知識があります。

ただの風邪であれば良いのですが、その他に考えるべき病気が隠れていないか、そこを判断することに関しては小児科の方が強いと言えるでしょう。

また、風邪の診察のついでに、成長や発達の異常、心雑音、湿疹などをたまたま発見することもあります。

耳鼻科の長所

一方、子どもの風邪診療において、耳鼻科も小児科にはない大きなメリットがあります。

風邪に引き続いて中耳炎を起こすことは珍しくありませんが、中耳炎の診察は耳鼻科の方が圧倒的に上手です。
小児科でも耳鏡という器具を用いて、中耳炎の診断をすることができるのですが、耳垢が多い場合は判断が難しいこともあります。耳鼻科では、耳垢を取り除き、ファイバースコープという機械を用いて診察することができるため、小児科では判断できない患者さんを診察することができます。
これはある程度の修練が必要なため、道具があったところで小児科医でもできるというものではありません。

そのため、小児科で「中耳炎があるか判断したいけどどうしても鼓膜が見えない」というときは耳鼻科を受診してもらうことになります。

まとめ

「鼻水の風邪で受診するべき科は?」という質問に対しては、「本当に鼻水の風邪と言い切れるならば、小児科でも耳鼻科でも変わりません。むしろどちらの科もたいしたことはできません。」というのが答えになります。

ただし、「本当に鼻水の風邪か?」という点は重要なので、まずは小児科で診断を受けてもらうのがいいでしょう。そのうえで、小児科で鼓膜が見えない場合に耳鼻科受診を勧められることもあります。

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