離乳食 Q&A

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赤ちゃんの成長に伴い、母乳・ミルクから食事へ移行する段階に必要なのが離乳食です。

離乳食については、自治体の両親学級や育児書などでも学ぶ機会が多く、こちらが驚くほどたくさん勉強されている親御さんも少なくありません。

ところが情報過多のこの時代、正しい情報と誤った情報とが混在していて、勉強すればするほど分からなくなってしまうという負の側面もあります。小児科外来や乳児健診で離乳食に関する相談をされる親御さんもおりますが、中には間違った情報に引っ張られてしまっているケースも少なくありません。

今回は、離乳食に関して小児科医が聞かれがちな点、誤解されやすい点、多くの親御さんが気になっているであろう点を、Q&A形式でまとめました。

アレルギーが心配。遅らせた方がいいですか?

小児科医
小児科医

遅らせる必要はありません。

アレルギーが心配な場合の開始時期は、最も聞かれることが多い質問です。

その答えは「遅らせない。通常通り始めることを推奨します。」です。離乳食を開始する時期の目安は生後5~6か月です。

アレルギーを心配して摂取を遅らせることは、アレルギーの発症を予防することにはつながりません。むしろ適切な時期に摂取を開始することが、その後のアレルギーを予防することにつながります。「心配だから」と摂取を遅らせることは、アレルギーの発症予防にはむしろ逆効果です。

それでも、きょうだいや家族に食物アレルギーがあったり、皮膚の湿疹が目立っていたりで、「うちの子は本当に他の子と同じように始めていいのかしら」と心配な方もいます。
その場合は、インターネット等の情報は参考程度にとどめ、健診や予防接種などでかかりつけ医を受診したときにでも相談してみましょう。その子に応じた個別の相談に乗ってくれることと思います。

早ければ早いほどいい?

小児科医
小児科医

早ければ良いというものでもありません。目安通りでOKです。

それでは反対に、5~6か月と言わずもっと早くに始めた方がいいのでしょうか。

よく勉強されている方からこのように質問をされたこともあります。しかし、極端に早く始めようとすると、赤ちゃんの方が食べる準備ができていません

具体的には、舌で食べ物を押し返す反射が残っており、首すわりが不安定で、そもそも食べることに興味を持てていません。このような状態で離乳食を開始しても、嫌がってしまったり、安全に食べさせることができなかったりするため、お勧めはできません。赤ちゃんが楽しんで食べてくれるようになることが、後々の成功につながります

以上から、早すぎても遅すぎてもデメリットがあり、やはり生後5~6か月に開始するのが適切と考えます。

量が足りていない気がしますが大丈夫でしょうか?

小児科医
小児科医

たいてい問題ありません。育児書などの量はノルマではありません。

離乳食は、食べないといけない最低量が決まっているわけではありません。育児書などには目安の量が書いているものも多いのですが、これは決してノルマではありません。「そのくらい食べてもいいんですよ」という目安にすぎません。

大人と同じで食事量も人それぞれですし、同じ子でもその日その時間によって食べる量に多少のムラがあることは不自然なことではありません。たまたま機嫌が悪かったり、食べたい気分でなかったりするときに1回の量が少なく感じることもあるかと思います。ですが、大抵の場合は問題ありません。悲しい気持ちになったり落ち込んだりせず、食事を楽しくする心がけが大事です。

また、離乳食の量を増やしたいからという理由で、母乳やミルクを積極的に減らすことはしないでください。乳児期は離乳食だけでなく母乳やミルクに栄養を依存しています。離乳食をしっかり食べられない時期こそ、母乳やミルクはしっかり与えてあげてください。

離乳食を全然食べてくれませんがなぜでしょうか?

小児科医
小児科医

いろんな理由があります。いろいろトライしてみましょう。

お子さんがまだ食べる準備ができていないのかもしれません。開始時期は5~6か月が目安ではありますが、個人差はありますので、のんびり屋のお子さんではもう少し準備に時間がかかる可能性があります。その時に無理やり食べさせても、食事嫌いになってしまう可能性があるので、少し待ってあげるのがいいかもしれません。目安から1か月程度ずれることはよくあることです。

お子さんの準備は整っているのに食べない場合、その理由は様々です。あるお子さんには最適でも、他の子には全くあわないということもよくあります。

  • 食感があっていない
  • 味付けがあっていない
  • 椅子や座り方・姿勢があっていない
  • 使っている食器(スプーン)があっていない
  • 食事の雰囲気があっていない(周りがうるさすぎる、親の緊張が伝わってきて不安など)

食べない理由は十人十色なので、「食べない理由はなんだろうな」と考えながら色々トライしてみるしかないかと思います。実は意外と「椅子や座っている姿勢が嫌で食べない」というのは多いです。

親御さんがあれこれ工夫してあげようとしているにもかかわらず、9~10か月健診のあたりでも全く離乳食が進んでいないという場合は医師に相談をしてみましょう(もちろん相談がなくても健診でチェックしてくれます)。

BCGを接種するまで待った方がいいですか?

小児科医
小児科医

待つ必要はありません。

答えは「待つ必要はありません。」です。
ただし、予防接種(BCGに限らず)の日と、新たな食材の開始日が同じ日になるのはお勧めしません。アレルギーが出た時に、どちらに対するアレルギーなのか分かりにくくなるからです。BCGの接種日と離乳食を開始しようと思っていた日がほぼ同じであるならば、予防接種をして2~3日問題がないのを確認してから、離乳食を開始するというのでも良いと思います。そうでなければわざわざ離乳食の開始を遅らせることはお勧めしません。

この質問は先日いただいたのですが、その時は「どうしてそのような考えが出てきたのだろう?」と疑問に感じました。お話を伺うと、インターネット上では「BCG接種までは離乳食を開始しない方がいい」というアドバイスがよく出てくるようです。おそらく、BCG接種時期と離乳食開始の目安が重なるので、「ほぼ同時になるならば、BCG接種後に問題ないのを確認して、後日離乳食を開始したほうがよい。」という上記のアドバイスが派生したものではないかと思っています。「BCG接種前に離乳食を始めてはいけない」という理由はありませんので、BCG接種の有無にこだわらず、目安となる生後5~6か月の離乳食開始をお勧めします。なお、BCGの標準的な接種期間は生後5~8か月です。

最後に

最近の親御さんは非常に勉強熱心で素晴らしいです。
しかしその弊害として、調べれば調べるほどいろんなことが書いていて、余計に不安になってしまうのではないかと心配しています。

「こうでなきゃいけない」というものは実はほとんどありません。書いていることが気になるときは、是非かかりつけの医師にでも相談ください。「え?どうしてそんなことが言われているのかな?」と小児科医でも知らない・聞いたことがないアドバイスや、明らかに間違った情報も、インターネットには平気で書かれています。

親御さんもお子さんも、離乳食を心から楽しめることが一番大事だと思っています。今回の記事が少しでもその支えになると幸いです。

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