子どもの便が出なくて困っています
乳幼児健診でとても多い相談です。
排便というのは日常的な習慣であり、毎日のように目にするものなので、便について心配を感じる親御さんは割と多いです。
そのなかでも最も多いのは「便が出ない」というお悩みです。
便秘として病院に通院をして薬の治療をした方がいいお子さんから、日常生活を少し調整してあげることでよくなるお子さんまで、色んなパターンがあります。
便秘がひどくなると、排便が痛かったり肛門が切れて出血したりして、排便を怖がるようになります。するとさらに便秘が長引くという悪循環に陥ります。そのため、ひどくなる前に適切な対応を行うことが重要です。
便秘とは?
便秘という言葉は日常的な会話でもよく耳にしますね。
一般的には便が出ないことを便秘といいますが、どのくらい出なかったら便秘というのでしょうか。
国際的な便秘症の診断基準RomeⅢというものがありますが、その中では「1週間に2回以下」という項目があります。
しかしながら、このような便の回数はあくまでも目安です。たとえ毎日のように出ていても、スッキリとした快便がない場合や、硬いウンチを頑張って出しているような状態が続いているのであれば、便秘としての対応をしてあげた方がいいでしょう。
便秘の治療 ~浣腸~
小児科で使用される浣腸は、グリセリン浣腸というものです。
物理的に刺激するだけでなく、グリセリンには腸から水分を吸収して腸の動きを活発化させる効果があります。即効性のある治療法なので、便秘で今まさに苦しんでいる場合(腹痛や食欲低下など)、まず行う治療です。
乳児であれば綿棒で肛門を刺激してあげることも有効です。綿棒刺激や綿棒浣腸と言ったりします。ベビーオイルやワセリンを付けたなるべく細い綿棒を使い、先端の膨らんだ部分だけを入れて腸の内側を軽くなぞってあげるように刺激します。
便秘の治療 ~下剤~
浣腸は一時的な治療ですので、日常的に便秘が問題となる場合は、下剤の内服が必要になることもあります。
下剤は「浸透圧性下剤」と「刺激性下剤」に分かれます。
「浸透圧性下剤」は、腸の中の水分を増やすことで便を軟らかくして、排便をスムーズにする効果があります。「刺激性下剤」は腸に直接作用して動きを活発にする効果があります。小児の便秘治療で日常的に使う薬としては「浸透圧性下剤」が推奨されますが、必要に応じて「刺激性下剤」を追加することもあります。
「浸透圧性下剤」にもいくつか種類があり、年齢が上がると使える薬も増えてきたりしますので、治療がうまくいかなくなってきたときは相談するようにしてください。
日常生活で気を付けることは?
便秘の改善のために、日常生活でも気を付けることがいくつかあります。
まずは食事の習慣です。食物繊維と水分をよくとることが大事です。特に乳児では水分が不足していることで便秘になってしまう子をよく見ます。
次に日常のストレスを減らすことが大事です。
緊張が強い状態だと腸の動きを調整する神経のバランスが悪くなります。
大人でも普段と生活のリズムが違ったり過度に緊張したりすると1日便が出なかったりすることはありませんか?私も朝早くに病院に呼びだされて、1日中緊張感のあるなかで仕事をしていたりすると、その日は便が出ないことなどもあります。
リラックスした環境を整えてあげて、なるべく規則正しい生活リズムにしてあげることが大事です。
便秘以外の病気について
子どもの便秘のほとんどは、特に原因のない体質的なものがほとんどです。これを「機能性便秘症」といいます。
一方、腸や肛門などの病気があってそのせいで便が出ないこともまれにあります。その中には早めに手術が必要なものもあります。
激しい腹痛や嘔吐を伴っている場合、体重が減っている場合などは、何か病気が隠れていないかを考えて、早めに小児科へ相談するようにしてください。
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