わが国では、3歳児健診や学校検診で尿検査が行われています。
症状を発症する前の腎臓の病気や糖尿病をいち早く見つけることができます。学校での尿検査の導入によって、糸球体腎炎という病気で末期腎不全に至るお子さんは大きく減少するなど、大きな成果を上げています。
一方、尿検査に引っかかった場合、不安を抱える親御さんも少なくないと思います。
今回は、尿検査では何をみているのか、異常を指摘された場合にどんなことが考えられるのかについてお話ししようと思います。
尿検査では何をチェックしている?
健診や学校での尿検査では以下の3つをチェックしています。
- 尿のたんぱく
- 尿潜血(血が混じっていないか)
- 尿の糖
「尿のたんぱく」と「潜血」は腎臓の病気を見つけるため、「尿の糖」は糖尿病を見つけるためにチェックします。ほかの項目もチェックすることもありますが、健診や学校検尿で大事なのはこの3つです。
尿検査で引っかかった場合、異常の割合は?
小学生では150人に1人、中学生では70人に1人くらいが、尿のたんぱくや尿潜血が指摘されます。一方で、腎臓の病気が発見される割合は1万人に数人~10人です。
尿糖は、1000人に1~2人が学校検尿で引っかかります。一方で、検診をきっかけに発見される糖尿病は、1型が10~20万人に1人程度、2型が10万人に数人程度です。
このことから、健診や学校の尿検査で引っかかっても、病気ではない場合も結構多いことがわかります。
また、地域によって基準に違いがある点も注意が必要です。
尿のたんぱくや尿潜血は、-、±、1+、2+、3+で判定されます。基本的には1+以上を異常として扱うのですが、±を異常とする地域もあります。そういった地域では、病気がない子でも異常として引っかかる割合が多くなります。
尿検査で引っかかった場合、どうしたらよい?
上述のように病気ではない可能性も大いにあります。
指示に従って病院での精密検査を受けてもらうことにはなりますが、医師に診断されるまでは過度に心配する必要はありません。
また、尿のたんぱくがたくさん出ている場合などは緊急での受診を勧められることもありますので、その場合は指示に従って速やかに受診してください。
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