専門医制度 ~一般の皆様へ~

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専門医”という言葉を知っていますか?
数多くの医師の中でも、特定の領域におけるスペシャリストであることを認定された医師が専門医を名乗ることができます。

一般の皆様には、
・どうやって専門医を探すことができるのか?
・専門医にかかった方がいいのか?
・自分の担当医が専門医でない場合は変えた方がいいのか?
このような点が気になるところかと思いますので、丁寧に解説していきます。

専門医とは?

“専門医”について知る前に、”学会”というものについて知る必要があります。
学会とは、その領域に関わる医師の集まりです。

  • 日本小児科学会 → 小児科の集まり
  • 日本小児神経学会 → 小児科の中でも神経を得意とする医師の集まり
  • 日本頭痛学会 → 頭痛診療を得意とする医師の集まり

学会の入会条件は、それぞれの学会によって異なるものの、厳しい基準を設けている学会はほとんどありません。そのため、学会に所属すること自体は、特別な経験や知識を必要としないことがほとんどです。

一方で専門医とは、それぞれの学会が認定した「その領域のスペシャリスト」のことであり、経験や知識が問われます。その条件は学会によって異なりますが、次のようなものがあります。

  • 研修歴や診療経験年数
  • 学会所属年数
  • 論文や学会発表の経験
  • 認定試験(筆記試験・面接試験)

認定試験はほとんどの学会で年1回です。これらで合格条件を満たした場合のみ、専門医を名乗ることができます。

標榜医・学会員・専門医の違い

標榜医とは、看板にその科を掲げている医師のことです。
つまり病院に「内科・小児科」とあれば、内科標榜医であり、小児科標榜医でもあります。

それぞれの条件はこのようになっています(例外もあります)。

  • 標榜医 → 特別な条件なし。
  • 学会員 → 学会に入会する必要はあるが、経験や知識は必要ない。
  • 専門医 → 学会の定める経験と知識が必要。

なお、標榜する科が複数ある場合、最初の科がその医師の本来の専門領域であることがほとんどです。例えば医師が一人のクリニックで「内科・小児科」であれば、内科の先生が小児の患者も診ていることが多く、「小児科・内科」であれば小児科の先生が内科にも対応しているということが多いです。

どうやって専門医を見つけるのか?

専門医の名簿は各学会が公表しています

「○○科 専門医」と検索するとそのページにたどり着くことができます

「小児科の中でも神経専門の先生に診てもらいたい」という希望があれば、「小児科 神経 専門医」などと検索すると、小児神経専門医を調べることができます。

「てんかんの専門医を調べたい」という場合は「てんかん 専門医」など、病名で調べることも有効です。ただし、すべての病気に専門医があるわけではありません。

あとは、かかりつけの病院に「この病気の専門医ってどういうものがありますか?」と聞くのもいいかもしれません。
「お子さんの病気はてんかんなので、小児神経専門医かてんかん専門医がおススメです。近くにいなければ小児科専門医でもいいと思います。」とか「この病気に特化した専門医というものはないので、とりあえず小児科専門医でいいと思いますよ。」などと説明することができます。

また、病院のホームページに、それぞれの医師がどんな専門医を持っているかを載せていることも多いです。ただし「学会員」なのか「専門医」なのかを明確に書いていないところもありますので、注意が必要です。

専門医の方が良い?

全体の傾向としては、専門医のほうがその領域に関して知識と経験が豊富です。
ただし、専門医をもっていなくても、十分な経験と知識を持っている先生もいます。いま自分がかかっている先生が合っていると感じ、治療や説明に納得しているのであれば、わざわざ専門医を持っている先生を探して病院を変える必要はありません。

一方で、いまの治療に疑問を感じていたり、新しく病院を探したりするときには、専門医があるかどうかを一つの基準としても良いかもしれません。

最後に

専門医というのは経験と知識を保証するものですが、「良い医師」というのは経験と知識だけがすべてではありません。

  • 説明が分かりやすい
  • 親身になって相談を聞いてくれる
  • 優しくて温かい
  • 勉強熱心
  • 患者のことを第一に考えてくれる

このようなことも医師として大切な能力です。
このあたりは一概に専門医の方が優れていると言えるものでもありませんので、いろんなことを総合的に判断して、自分に合ったお医者さんを探すのが良いと思います。

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