小児科でよくある場面です。
パターン①
血液型って調べられますか?
調べることはできますが、調べてもなんの役にも立ちませんよ
えっ?どうゆうこと?
パターン②
血液型って調べられますか?
大丈夫ですよ!(調べても意味ないのになあ)
お願いします(これで安心!)
この例ではお医者さんの説明が足りていないことに問題がありますが、このようなすれ違いの場面は小児科外来でありがちなことだと思います。
今回は、血液型を調べることの意味について解説いたします。
血液型を知ることは、「血液型占い」ができること以外に意味はありません!
血液型を知っていても輸血には役に立たない?
親御さんに血液型を調べたい理由を聞くと、「緊急輸血が必要な場面に備えて」というお答えをいただくことがあります。
果たして、血液型を知っておくと、緊急輸血の場面で役に立つのでしょうか?・・・答えは「ノー」です。
輸血をする場合は、その時に血液型を調べます。
「うちの子はA型だとわかっています」と言われても、それを信用して検査を省略することはありません。検査が判明するまで待てない超緊急の場面はめったにありませんが、その場合は例外的にO型の赤血球を使用し、血液型が判明してから切り替えます。
つまり、輸血をする場面でも、事前に血液型がわかっているかどうかは重要ではないのです。
血液型を調べることに医学的なメリットはなく、メリットがあるとすれば血液型占いを楽しめることくらいかと思います。
血液型を調べるには?
それでも血液型を知りたい場合は、お近くの小児科へご相談ください。
治療に必要な場合を除き、血液型検査は自費です。
料金は病院によって異なりますが、1000~3000円くらいが多いです。 なお、赤ちゃんの血液型検査は信頼性が乏しく、後々に結果が変わることがあります。2歳以上(できれば5歳以上)での検査が望ましいです。
血液型でなりやすい病気が分かる?
血液型と病気のなりやすさに関連があるのではないかという報告がいくつかあります。
例えば「脳卒中はO型よりもAB型のほうがなりやすい」などです。
そう聞くと、「あらかじめ血液型を知っておくと、病気の予防に役立つのでは?」と思う方もいると思いますが、血液型をそのように利用するのはまだ難しいと思います。
この例でいうと、AB型の人が「脳卒中にならないように」と食生活や運動習慣を見直すことには意味はあると思います。しかし、O型であっても「O型だから大丈夫!」と不健康な生活をしていれば、当然脳卒中のリスクは高まります。
つまり、脳卒中の予防のためには、AB型だろうとO型だろうと、規則正しい生活を送ることが重要です。
血液型を知ることで、病気の予防に関心が高まるのであれば良いことですが、「自分はこの病気にはなりにくいらしい」と予防を怠ることにつながるのであれば逆効果です。 今後新しいことが発見される可能性は十分ありますが、現時点ではやはり血液型を知っておくことの医学的な意味はないと私は思います。
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