不定愁訴 -漠然としたいろいろな症状-

症状と病気

不定愁訴(ふていしゅうそ)という言葉をご存じでしょうか?

一般の方にはそこまで馴染みのある言葉ではないと思います。「愁訴(しゅうそ)」というのは「患者さんの訴え」という意味であり、「一定した症状ではないけど、なんとなく体調が悪い」というのが「不定愁訴」の本来の意味です。

最近では若干意味合いが変化し、「明らかな身体の病気が見つからないにもかかわらず、様々な症状があること」を不定愁訴ということが一般的です。症状は、頭痛、腹痛、だるさ、吐き気、めまい、食欲がない、手足が痛いなどがあり、症状が毎回変わることもあれば、いつも同じ症状が出てくることもあり、本当に様々です。

明らかな原因がないため、決まった対応の仕方はなく、全員に当てはまるものではないかもしれませんが、一般的な情報について説明します。

不定愁訴にはどんなものがある?

どんな症状でもアリですが、割と多いのは次のものです。

  • 頭痛
  • 腹痛
  • 吐き気
  • 下痢
  • だるさ
  • 手足のしびれ
  • 食欲不振

不定愁訴の特徴は?

複数の症状が重なっていると、不定愁訴の可能性が高まります。

たとえば、「頭痛も腹痛は常にあるし、手足のしびれも時々あって動悸がすることもあります」のような場合です。たくさん症状があると、「なにか良くない病気に罹ったのではないか?」と心配になることも多いと思いますが、むしろ、原因がはっきりとしない不定愁訴では複数の症状が出ることも珍しくありません。

また、日によって出てくる症状が変わったり、「学校のある日には調子が悪くなりやすい」などの心理的なストレスが影響するのも特徴です。

不定愁訴を疑ったらどうする?

ここまで読んでいただいて、「これは不定愁訴だろう」と思われる場合も、まずは、原因となる病気が隠れていないか病院で相談してください。医師の診察を受けて、場合によっては検査等も受けてもらったうえで、治療すべき病気がないことを確認することが重要です。

不定愁訴と診断された場合、根本的な治療法はないことがほとんどですが、症状に対してそれを緩和させる対処法はあります(例:痛みに対する痛み止め)。食欲不振によって体重が著しく減っている場合などは入院を必要とすることもあります。

また、心理的なアプローチ(カウンセリング等)が必要なこともありますので、いずれにしてもお困りの場合はまず病院に相談いただけると幸いです。

不定愁訴に対して自宅で気を付けること

【生活のリズムを整える】
小学校高学年から高校生にかけての成長過程は、自律神経が乱れやすい時期でもあります。自律神経は心拍数や血圧をコントロールする役割がありますが、生活リズムが不規則になると、自律神経の負担が増えて、大事な臓器への血流も乱れやすくなります。その結果として、頭痛や腹痛といった様々な症状が出ることがあります。

規則正しい生活リズムを心がけ、大事なイベント等がない限り、平日も休日も同じ時間の起床・就寝時間を意識しましょう

【十分な睡眠を確保する】
睡眠不足もまた自律神経の不調を引き起こし、不定愁訴を増悪させます。
睡眠に関してはこちらの記事で詳しく説明していますので、良ければご参照ください。

【ストレスの少ない環境を(大人も)】
不定愁訴の大きなきっかけとして、ストレスがあります。
大人でも子どもでも、全くストレスがない生活をするというのは不可能だと思いますが、過度なストレスのないよう環境を整えてあげましょう。

なにがストレスとなるかはお子さん一人一人によって全く異なります。まずは大人がストレスの少ない生活を行い、いらいらした様子をお子さんの前で出さず、温かい雰囲気を作ること。そのことによって、お子さんがストレスに感じている悩み事を安心して打ち明けられることに繋がります。

【症状を責めない】
不定愁訴の原因をお子さんのせいにしないことが大事です。
「診察や検査で異常はない。原因となる病気はない。」と言われると、「痛いのは気のせい」「大げさ」「気の持ちよう」「仮病」などと間違えて解釈をされることがあります。

あくまでも「根本治療ができる病気がない」というだけであり、仮病でもなければ、気持ちを強く持てば症状が無くなるものでもありません。

「しっかりしなさい」のように叱ったり励ましたりすることは逆効果となりますので、しないようにしましょう。

最後に

今回説明した内容は、不定愁訴に関する一般的なお話です。原因が決まっている病気と違って、一人一人にオーダーメイドな対応が求められることも多いです。インターネットでの情報はあくまで参考にとどめ、お困りの際はお近くの小児科へご相談ください。

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