子どものゲーム依存症

症状と病気

子どものゲーム依存が社会的な問題になってきています。
世界保健機構(WHO)はゲームのために日常生活に影響が出ている方を「ゲーム症/ゲーム障害」という病名をつけて、病気として認定しています。 つまりゲーム依存は、単なる「性格の問題」「しつけの問題」で片づけるものではなく、病気として医療機関が関わっていくものになってきています。

今回は「ゲーム依存」として説明していますが、「インターネット依存」「SNS依存」「メディア依存」なども同様の部分が多いです。

ゲーム依存の定義とは?

ゲーム症/ゲーム障害の特徴

  • ゲームをする時間を自分でコントロールできない
  • ほかの日常活動よりゲームを最優先する
  • 悪影響が出ているにもかかわらず、ゲームをやめられない

このような状況が1年以上続く場合、「ゲーム症/ゲーム障害」と診断される可能性があります。
ただし、1年続くのを待ってから対応するのではなく、日常生活に影響が出てきたり、本人がやめられなくて困っている場合には、その時点で対応が必要です。

ゲーム依存にまつわる問題とは?

1. 身体的な問題

睡眠の質の悪化、目の障害、腰痛、腱鞘炎、肥満などが挙げられます。
大人の監視がない成人や青少年ですが、長時間同じ姿勢でいることで、エコノミー症候群を発症し死亡した事例もあります。

2. 精神的な問題

イライラしやすい、我慢できない、集中力がないなどの変化が出ることがあります。
手をあげる、衝動的な行動をとる、食行動の異常など、行動に変化が出ることもあります。

3. 学業への影響

ゲームに割く時間が増えるので、その分学習に費やす時間が減ります。
夜遅くまでゲームをやって朝起きられないことや、学校よりもゲームを優先するために、遅刻や欠席が増えます。さらに、授業を受けていても授業に集中できないことも多いです。

4. 対人関係の悪化

他人と交流のないゲームが生活の中心になることで、他人とのコミュニケーション能力が欠如します。
さらに、ゲームの世界と現実世界の違いを理解できず、不適切な発言や行動をとり、他人と上手に関われないこともあります。

5. 金銭的な問題

度を過ぎた課金や、金銭にまつわるトラブルに巻き込まれることもあります。

このように、ゲーム依存はたくさんの問題を合併します。
それぞれがお互いに影響しあって、どんどん問題は大きくなっていきます。
負のスパイラルを抜け出さない限り、問題は解決しません。

ゲームは1日何時間までなら良い?

少なければ少ないに越したことはありませんが、なるべく1日2時間まで、長くても1日4時間は超えてはいけないと考えています。

その根拠としてインターネットの利用時間とインターネット依存症について調査した研究があります。インターネットの利用時間が1日2時間までだと依存症はそこまで多くなく、1日3時間を超えたあたりから増えてきて、4時間以上だと17.6%が依存症になります。

ただし、研究の数はまだ少ないですし、インターネットとゲームでは多少違いがあるかと思います。「○○時間までは悪くない」と断言することは難しいでしょう。

ゲーム依存の対策

まずはゲームの時間を減らす仕組みづくりが大事になります。
明確なルールを設けること、ルールが守られているのか・いないのかを分かりやすくすることが大事です。

たとえば「ゲームは1日2時間まで」と決めたなら、ゲームの時間を測ってあげて、「今日は守れた・守れなかった」が自分でもわかるようにするといいでしょう。

他にルールを決めるとすれば
 〇〇曜日はゲームをしない(ノーゲームデー)
 〇〇時以降はゲームをしない
 〇〇時以降は布団に入って寝る用意をする
 寝室にはゲームを持ち込まない
 ゲームを出したら毎回片づける などがあります。

各家庭の状況にあわせて、良いと思うものを決めるといいでしょう。
初めから5個も6個もルールを設けるのはうまくいきません。
今の時点で特にルールがないのならば、まずは1つか2つから始めるのがいいでしょう。

最後に

ルール作りのほかにもう一つ大事なことがあります。それは親御さんの習慣・行動です。
親御さんが自宅でインターネットの利用時間が長いと、お子さんはゲーム依存になりやすいという調査があります。
お子さんの行動を変えようとする前に、親御さんがスマホやインターネットの利用時間を削れないか考えてみてください。そして、お子さんとのメディアを使わない遊びやコミュニケーションの時間が増えると理想的です。

なかなかうまくいかないときは、遠慮せず病院に相談しましょう。
「しつけの問題だから病院に相談しても・・・」と思う必要はありません。冒頭でも述べた通り、「ゲーム症/ゲーム障害」は病気として認められています。
ただし、「お薬出すので良くなりますよ」という単純なものではありません。そこだけは誤解せず、ご家族と病院が一丸となって、根気強く治療にあたる必要があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました