- 3大夏かぜは「ヘルパンギーナ」「手足口病」「プール熱」
- 症状を和らげる薬はありますが、特効薬はありません。
- 基本的に自然に良くなりますが、まれに重症の合併症があるので注意が必要です。
6月になりました。
夏の時期にお子さんに流行するかぜが「夏かぜ」です。
通常は後遺症を残さずに1週間程度で治りますが、稀に脳炎や心筋炎といった合併症を引き起こすこともあります。今回は、夏かぜの症状や気を付けるポイントについて解説をします。
夏かぜとは?
一般的に「夏かぜ」とは、「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜熱(プール熱)」という3つの病気のことを指します。
5歳以下のお子さんに夏に流行する特徴があります。原因はウイルス感染症です。 抗生物質(抗菌薬)は効果がなく、特効薬のようなものはありません。咳やのどの痛みといった症状を和らげる薬はありますが、治りを早くしたり、ひどくなるのを予防したりするような薬はありません。基本的には自分の免疫力で自然に治すしかありません。
ヘルパンギーナとは?
水疱(水ぶくれ)を意味する「ヘルペス」と痛みを意味する「アンギーナ」が合わさってできた言葉です。その名の通り、口の中に水ぶくれができ、口の中やのどが強く痛みます。 高い熱が出ることも多く、2~3日続きます。
手足口病とは?
その名の通り、手・足・口に水ぶくれのような発疹が出現します。おしりに発疹が出ることも多いため、小児科になりたての頃に先輩から「手足口『尻』病」と教わりました。熱が出ることもありますが、あまり高い熱にならないことが多いです。
咽頭結膜熱(プール熱)とは?
その名の通り、「咽頭=のどの痛み」「結膜=目の充血や目やに」「熱」を症状とする病気です。腹痛や下痢といった胃腸炎の症状が出ることもあります。高い熱が4~5日続くこともあります。 プールを介して流行することがあったため、「プール熱」という別名がありますが、きちんと塩素消毒されているプールの水を介して感染することはまれです。
夏かぜはどうやって感染する?
感染経路は「飛沫感染」と「糞口感染」です。
飛沫感染は、ほとんどのかぜのウイルスと同じです。咳やくしゃみ、大声でしゃべった時にとんだ唾液が口から入ることで感染します。直接飛沫を吸い込まなくても、唾液がついたモノや手を介して、食事などの際にウイルスが入ることもあります。
糞口感染とは、便の中に排泄されたウイルスが口から入って感染します。便が直接口に入るわけではありませんが、トイレの際に手洗いが不十分だったりすると、その手から食事などを介してウイルスが入ります。
夏かぜの予防法は?
夏かぜには特効薬がないため、予防することが一番大事になります。
夏かぜを引き起こす代表的なウイルスは、コクサッキーウイルスやエンテロウイルス、アデノウイルスですが、これらはアルコール消毒が効きにくいウイルスです。そのため、手洗いが重要です。
※アルコール消毒も、その他のアルコール消毒が有効なウイルス感染を予防するためにやるべきです。
大人の方にうつることもありますし、大人の手を介して別のお子さんにうつしてしまうこともあります。お子さんが夏かぜと診断された場合は、親御さんもいっそう手洗いを意識してください。
夏かぜになってしまった場合は?
治りを早くしたり、重症化を予防したりする特効薬はありません。
熱、のどの痛み、咳などの症状を和らげる薬はありますので、症状に応じて薬を処方します。薬を使ったから治りが良いというわけではないので、症状が軽く、日常生活に影響がなければ必ずしも薬を使う必要はありません。
また、のどの痛みや口内炎がひどく、食事や水分摂取が不十分になる子もいます。その場合は脱水にならないように、点滴や入院をすることもあります。
まれに、髄膜炎や心筋炎といった重症の合併症を起こすことがあります。以下のような症状があれば速やかに病院へ連れてきてください。
- 激しい頭痛・繰り返す嘔吐
- ぐったりしている
- 反応が鈍くぼんやりしている
- 顔色が悪い
- 呼吸が苦しそう
- 胸を痛がっている
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