インフルエンザ

症状と病気

インフルエンザは毎年11月下旬~12月上旬から春先まで流行する感染症です。
今年に関しては、国立感染症研究所からの最新の報告(2023/12/6現在)で、45都道府県で既に警報レベルを超えている区域があると報告されています。

インフルエンザは、発熱やのどの痛みなどの風邪の症状を来し、特別な治療をしなくても良くなっていくことが多いです。一方で、感染が広まりやすく、重症化することもあるため、一般的な風邪と区別して対応されることも多いです。今回は、インフルエンザの特徴と、予防のために大切なことをお話します。

インフルエンザとは

インフルエンザウイルスによる感染症です。

症状は、高熱、だるさ、頭痛、のどの痛み、咳、鼻水などです。これらは一般的な風邪でも見られるような症状です。

一般的な風邪との違いとしては、インフルエンザの方が全身の症状が強く、高熱や全身のだるさ、関節痛・筋肉痛が出やすいという特徴はありますが、症状だけで明確に区別することは難しいです。そのため、症状だけでなく、周囲の感染状況がインフルエンザと診断するために重要です。

診断方法は?

一般的にインフルエンザは、迅速検査キットを使用して診断します。

簡便な検査ではありますが、検査のタイミングによっては、誤った結果になることもあります。これを偽陽性・偽陰性といいます。特に、偽陰性(本当はインフルエンザなのに陰性と出てしまう)はそれなりにありますので注意が必要です。

発症して間もない場合や、反対に時間が経ちすぎている場合、検査は不正確になりやすいです。発症から12時間~48時間に検査を行った場合は、正確な結果になることが多いですが、それでも偽陽性・偽陰性はゼロにはなりません。そのため、周囲の流行状況が明らかで、症状や診察所見もインフルエンザで間違いないようであれば、検査をせずに診断を付けることも正しいとされています。

インフルエンザの経過は?

インフルエンザには治療薬がありますが、治療をしなくとも1週間程度で自然に良くなることがほとんどです。

しかし中には、肺炎や急性脳症などの合併症により、重い後遺症を残したり命にかかわったりすることもあります。肺炎は高齢者や持病を持っている方に見られることが多く、一方、急性脳症は小児(特に幼児)に特徴的な合併症です。

インフルエンザの治療は?

インフルエンザに対するお薬として、抗インフルエンザ薬があります。

前述のとおりインフルエンザは自然に治ることがほとんどですので、すべての患者様にお薬が必要なわけではありませんが、入院するような重症や、肺炎のリスクとなる持病のあるお子さん、急性脳症のおそれがある年齢層である幼児以下のお子さんなどには、抗インフルエンザ薬の投与を考慮します。

抗インフルエンザ薬を考慮

  • 重症例(入院例など)
  • 基礎疾患(持病)がある
  • 乳幼児
  • その他、医師が必要と判断した場合

抗インフルエンザ薬は数種類ありますが、新生児・乳児を含めた小児で使いやすいのはタミフル®(オセルタミビル)です。タミフル®で小児の異常行動や転落死が報告され、一時期は10代の子への投与が差し控えられることがありましたが、これらの症状はタミフル®の影響ではなくインフルエンザによるものと考えられるようになり、現在は使用可能となっています。

インフルエンザの予防法は?

一般的な風邪と同様、マスクの着用、手洗いやアルコール消毒が有効です。
インフルエンザと診断されていなくとも、風邪症状がある方は外出・人との接触を極力控える等の配慮も大切です。

そしてインフルエンザにはワクチンがあります。
感染そのものを50%程度予防でき、感染したときの重症化も予防する効果が証明されています。ワクチンで感染を100%予防することはできないので接種をためらう方もおりますが、それなりに感染を減らし、重症化予防の観点から、私はワクチン接種を推奨します
なお、「ワクチンを接種したせいでインフルエンザになる」ということはありません。

ちなみに、タミフル等の抗インフルエンザ薬を予防的に使うことも有効です。
しかし、薬が不適切に多く使用されることで様々なデメリットもありますので、誰にでも使用すべきものではありません。病院内での集団発生予防や重症化リスクのある患者様に限って検討することが一般的です。

お子さんがインフルエンザと診断されたら注意すること

抗インフルエンザ薬が処方された場合は、決められた日数を守ってください。
特にタミフルは5日間内服させる薬なので、途中で良くなってきたからと自己判断で中止することはないようにお願いします。副作用等が気になって、内服を続けるべきか迷うときは、必ず病院の方へ御確認くださいますようお願いします。

インフルエンザではお子さんが異常行動を起こすことがあります。急性脳症を起こしていなくても、異常行動やおかしな言動、幻覚等を認めることがあります。転落等の事故に注意してお子さんを見てあげてください。なお、タミフル等の抗インフルエンザ薬を飲んでいても飲んでいなくても、このようなことは起きえます。

インフルエンザ以外の風邪でも同じですが、高熱が出て飲水ができなくなってくると、脱水になる可能性があります。こまめな水分補給をしてください。
ぐったりして水分も摂取できない場合、おしっこが8時間以上出ない場合などは、無理せず病院を受診してください。特に乳幼児では脱水になりやすいので注意してください。

最後に、インフルエンザと診断されたら登園・登校可能時期に制限があります。
登園・登校可能時期は、発症から5日、かつ、熱が下がって2日(保育園・幼稚園児は3日)ですが、診断してもらった医師に具体的な日にちを確認するのがいいと思います

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