溶連菌(ようれんきん)について

症状と病気

幼稚園や保育園、学校で流行ることがある溶連菌について解説します。

症状は風邪と似ていますが、風邪に抗生物質は必要ないのに対して、溶連菌では抗生物質で適切に治療を行う必要があります。

溶連菌とは

溶連菌は急性咽頭炎の原因になる細菌です。

のどの痛みや発熱で小児科外来を受診するお子さんは多いですが、喉にウイルスや細菌が感染した状態を、急性咽頭炎といいます。小児の急性咽頭炎の原因は、ほとんどがウイルスによるものです。ウイルスによる急性咽頭炎では特別な治療はなく、抗生物質などは要りません。

一方で、溶連菌も、急性咽頭炎の原因になります。溶連菌は適切に抗生物質を使用する必要があるので、小児科外来で急性咽頭炎と診断したときに、ウイルスなのか溶連菌なのかを見極めるのが重要です。

また、今回はあまり触れませんが、溶連菌は中耳炎や皮膚の感染症(蜂窩織炎)の原因にもなります。これらに関しては、中耳炎について皮膚の感染症「蜂窩織炎」をご参考にしてください。蜂窩織炎に関しては、医療情報サイトのメディカルノートでも記事を書いています。蜂窩織炎(ほうかしきえん)の原因・治療・再発や予防-抗生剤は効く?

ちなみに、一般的に「溶連菌」と言われている細菌ですが、正式には「A群β溶血連鎖球菌」といいます。

溶連菌はどこにいるの?

溶連菌は、健康なお子さんの鼻やのどに住んでいることがある、ありふれた菌です。

なお、菌が住んでいるだけであれば、感染は起こっていないので特に症状はありません。

溶連菌感染症の特徴は?

溶連菌は、発熱、のどの痛みという、風邪と紛らわしい症状を起こす細菌です。

ほかにはどんな特徴があるでしょうか。

溶連菌の場合は、特にのどが赤く腫れあがります。さらに、のどに点状出血があると、特に溶連菌らしさが高まります。しかし、これらは実際にのどを覗いてみないとわからず、お子さんによっては、のどの診察が難しいこともあります。

他に、溶連菌の特徴として、高い熱が出る、咳がない、首のリンパ節が腫れて痛いなどがありますが、「これがあれば絶対溶連菌だ(もしくは溶連菌ではない)」と言えるような決定的なものはありません。

溶連菌は感染症なので、周囲に溶連菌と診断された人がいるかどうかも重要です。
集団生活をする5歳~15歳に多いですが、その年齢のお兄ちゃん・お姉ちゃんがいる場合は、小さい子でももらってしまうことがあります。

溶連菌の検査は?

よく行われているのは、溶連菌の迅速検査です。
のどの奥を綿棒で拭って、溶連菌に感染しているかどうかを調べます。
迅速検査は、本当は感染していないのに陽性と出ることは少ないですが、感染していても陰性と出てしまうことがあります。

迅速検査よりも精度が優れるものとして、培養検査というものがあります。
同じようにのどの奥を綿棒のようなもので拭って、菌がいるかどうかを調べます。難点として、結果が分かるまでに数日かかるというところがあります。

溶連菌の治療は?

溶連菌には抗生物質(抗菌薬)が有効です。
診断がつき次第、飲み薬の抗生物質を開始します。のどの痛みや高熱のために、食事や水分の摂取ができていない場合は入院になりますが、あまり多くありません。

抗生物質を開始すると速やかに熱が下がることが多いです。しかし、合併症を予防するため、周りの方へ感染を広げないために、処方された日数分の抗生物質をしっかり飲み切ることが重要です。

溶連菌の予後は?合併症は?

適切に治療された場合、溶連菌では特に後遺症を残さずに回復することがほとんどです。

しかし、感染の後で腎臓に影響が出てしまうことがまれにあります。 感染後1~2週間したところで、おしっこが少なくなったり、手足や顔のむくみに気づいた場合は、腎臓に影響が出ているサインかもしれません。そのような症状を認めた場合は、速やかに病院を受診してください。

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