RSウイルスってどんなウイルス?

症状と病気
  • RSウイルスはかぜの症状を引き起こすウイルスです。
  • 乳児(特に3か月未満)や基礎疾患のあるお子さんでは重症化することもあります。
  • 特効薬はありません。

RSウイルスとは?

RSウイルスは、咳や鼻水などのかぜの原因となる代表的なウイルスです。

お子さんの感染症として知られていますが、大人にも感染するウイルスです。
健康な大人で重症化することは極めてまれなので、ウイルスの検査をしないことが多く、大人ではあまり聞かないウイルスとなっています。RSウイルスは、一度なったことがある方でも、何度でも繰り返し感染します。

かつては冬のウイルスとして有名でしたが、年によって流行の時期は変わります。
最近では夏から秋にかけてピークが来る傾向があります。

ちなみに、RSウイルスは「Respiratory Syncytialウイルス」の略で、直訳すると「呼吸器合胞体ウイルス」となります。

RSウイルスに注意するのはどんな子?

まず大事なのは年齢です。
RSウイルスで重症化しやすいのは、1歳未満の乳児です。特に月齢が浅ければ浅いほどリスクは高く、生後3か月未満は要注意です。1歳を超えていれば重症化のリスクは減少していき、2歳以上の健康なお子さんは、RSウイルスに感染してもただのかぜで終わることがほとんどです。

次に、基礎疾患がある場合は注意が必要です。
心臓や肺に持病があったり、早産で生まれたり、免疫や遺伝子の異常が分かっている場合などは、重症化するリスクが高まります。あらかじめ、主治医にRSウイルスのリスクについて確認しておくのがいいでしょう。

リスクが高いお子さんでは、最初は元気そうでも注意が必要なウイルスであり、場合によっては入院で様子をみることもあります。そのため、RSウイルスの検査が必要なことも多いです。
一方で、2歳以上の健康なお子さんで、軽いかぜの症状だけであれば、RSウイルスの検査で治療方針が変わることはほとんどなく、検査は必要ではありません。

危ないサインとは?

RSウイルスが重症化したときのサインは以下の通りです。

  • 普段と比べて呼吸が早い
  • 呼吸が苦しそう
  • 息を吸うたびに鼻の穴を膨らませている
  • 息を吸うたびに肋骨の下、鎖骨の上、首のつけ根がべこべこへこむ(陥没呼吸)
  • ゼーゼー、ヒューヒューという音が聞こえてくる
  • 顔色が悪い
  • 呼吸が止まるときがある(無呼吸発作)
  • 哺乳できなくなってきた

このような症状が出た時は速やかに病院を受診してください。
RSウイルスは発症から4~5日でピークが来ると言われています。最初の時点で大丈夫でも、数日たってから入院が必要な状態になることもあります。

リスクが高いお子さん(生後3か月未満など)では、このような症状がなくても、悪くなった時に備えて入院で様子をみることも多いです。

RSウイルスの治療は?

RSウイルスに特効薬はありません。

痰を出しやすくするお薬や、気管支を広げる吸入をすることがありますが、それ自体が病気を治すわけではありません。
入院になるケースでも、なにか特別な治療があるわけではありません。酸素投与や点滴を行いながら、自分の免疫の力で治っていくのを待つことになります。

なかには、肺炎や喘息を合併しているお子さんもいるので、それに対する治療を行うこともあります。

なお、もともと持病があってリスクの高いお子さんでは、シナジスという重症化予防の注射を1か月ごとに投与することがあります。シナジスは希望すれば誰でも打てるものではなく、対象となるお子さんは厳密に決められています。

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