頭をぶつけました!

事故と予防
頑張りママ
頑張りママ

頭をぶつけました!心配です!

小児科医師
小児科医師

心配ならば受診してください。
頻度としては大丈夫なことが多いです。

歩き始めたお子さんはよくバランスを崩して転倒します。
また、誤ってお子さんを落としてしまったり、ベッドから転落したりして、頭をぶつけてしまった場合、どうしたらいいのでしょうか。

病院を受診していただくのが一番確実ですが、頭をぶつけたお子さんが病院を受診しても、ほとんどのケースで診察だけをして特別な検査をしないことが多いです。
そのため、われわれがきちんと説明を行わないと、「心配で病院を受診したのになにもしてくれなかった」と誤解を生むことがあります。

今回は、ほとんどのケースで検査がされない理由、どういうケースでは検査をするか、おうちでどういう症状に気を付けたらいいかを説明します。

頭をぶつけたときの検査とは?

お子さんが頭をぶつけて病院を受診した場合に行う検査は、頭のCT検査です。
頭のCT検査で、骨折がないかや頭の中に出血がないかを判断します。「骨折だけならレントゲンでもわかるのでは?」と思われるかもしれませんが、わかりやすい大きな骨折でない限り、頭のレントゲンだけではわかりません。MRI検査は、1回の撮影に時間がかかることと、24時間いつでもすぐに撮れる施設は少ないことから、頭の打撲には一般的ではありません。

CT検査のデメリットは?

CT検査は「放射線被ばく」を伴います。
「被ばく」というと怖い印象を受けるかもしれませんが、実は私たちは普通に生活しているだけでも日常的に放射線を「被ばく」しています(自然放射線といいます)。放射線で人体に影響が出るかは、その強さ(線量)によります。線量の強い放射線を浴びると「がん」のリスクが高まりますが、CT検査で使われる放射線の量で、「がん」のリスクが高まるかどうかは、まだ十分なデータが揃っていません。いろんな報告が出ていますが、結果はさまざまです。

そうはいっても、必要のない検査で被ばくをするのは避けるべきであり、CT検査をすることで病変を詳しく調べられるメリットと、「被ばく」のデメリットとを天秤にかけて、検査をするかどうか見極めています。

ちなみに、レントゲン検査での「放射線被ばく」はCTよりもずっと少ない線量であり、MRI検査は「放射線被ばく」がありません。ただし、MRI検査は数十分の間じっとしていないといけないので、小さい子の場合は鎮静が必要です。鎮静には別のリスクがあります。

どんな子にCT検査を行うの?

治療や慎重な経過観察(入院)が必要な骨折・出血が、「1%以上の確率でありそう」と判断した場合、頭のCT検査を行うことが多いです。

<本人の症状>

  • 意識がはっきりしない
  • 普段と様子がおかしい
  • 何回も吐いている
  • けいれんした
  • ひどい頭痛がある

<診察でわかること>

  • 頭を触ってみて、骨折している様子がわかる
  • 大きくぶよぶよしたたんこぶがある
  • 目や耳の周囲に内出血がある

<強いエネルギーが加わった>

  • 走っている車との衝突
  • 高いところからの転落
  • 固いもので頭をなぐられた など

このようなものがなければ、治療が必要な骨折や出血がある可能性は0.1%よりも少ないと見積もられます。CT検査は行わずに自宅で慎重に様子を見てもらうことが多いです。
その場合も、自宅で状態が変わって、これらのような症状があれば再度受診をするようにしてください。

まとめ

お子さんは転んだり、頭をぶつけたりすることが多いです。
問題ないことがほとんどですが、治療が必要な出血や骨折を起こすこともあります。
疑わしい症状があれば、病院を受診するようにしてください。

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