乳児湿疹のおはなし

症状と病気

乳児湿疹は、程度の差はあるものの、多くの赤ちゃんに見られます。
健診で相談されることもとても多く、対応の仕方に悩んでいる親御さんは少なくないことと思います。今回は、自宅での対応をメインに、乳児湿疹について解説します。

乳児湿疹とは

赤ちゃんの肌にできる、赤みやブツブツといった皮膚のトラブルを総称して、広い意味で「乳児湿疹」と呼びます。ただし、感染症やアレルギーなど、なにか原因がある場合は乳児湿疹ではありません。

慢性的に湿疹のような皮膚のトラブルを繰り返す、アトピー性皮膚炎という病気がありますが、最初の頃は乳児湿疹とアトピー性皮膚炎を区別することは難しいことも多いです。アトピー性皮膚炎かどうかを気にされる方もいると思いますが、まだ診断できないうちは乳児湿疹として対応していきます。

なぜ赤ちゃんは湿疹になりやすい?

赤ちゃんの肌はすべすべしているイメージがあるかもしれませんが、時期によってあぶら(皮脂)の分泌が多かったり、乾燥が強かったりするので、皮膚のトラブルに見舞われることが多いです。皮膚が炎症を起こした結果、乳児湿疹として赤みやボツボツが出現します。

乳児湿疹はなぜ対応が必要?

見た目が痛そう・痒そうでかわいそうというのもありますが、乳児湿疹を予防・治療したい一番の理由はアレルギーの予防です。

食べ物アレルギーの原因となる食物アレルゲンは、実は食べ物そのものだけではなく、生活環境の中に存在しています。食べ物が食べられるようになる前に、アレルゲンが皮膚から侵入してしまうことが、アレルギー発症のメカニズムとされています。

皮膚をきれいな状態に保つことで、アレルゲンの侵入を防ぎ、食べ物アレルギーの発症を予防します。同じく、細菌の侵入を防ぎ、皮膚の感染症を予防することにもつながります。

乳児湿疹の予防・治療法は?

乳児湿疹の予防・治療法の基本は、「洗う・すすぐ・保湿する」です。

一つずつ詳しく説明していきます。

「洗う」について

赤ちゃんはホルモンの影響で皮脂の分泌が多いです。皮脂が毛穴に詰まることで炎症が引き起こされます。また、「汚れ」が肌についていると、それ自体が刺激となって炎症を起こします。そこで「洗う」というステップが重要になります。

赤ちゃん用の石鹸/ソープを使用して洗いますが、しっかりと泡を立てて(最初から泡で出るものも多いですが)、強くこすらずに優しく洗うことが大事です。

首や脇などは皮膚が密着していて不十分になることが多いので、意識して皮膚を伸ばして洗ってあげてください。また、目や鼻に泡が入るのを怖がって、顔や頭皮が洗えていない場合も多いです。ちょっとしたコツですが、もっちりした泡のソープを顔用として使うと、目や鼻に流れて入ることが少なくなると思います。

「すすぐ」について

しっかり洗った後は、しっかりすすぐのが大事です。
石鹸/ソープが残っていると、それもまた刺激となって炎症の原因となります。

「洗う」のときと同じく、皮膚が密着しやすい首や脇が不十分になりやすく、目や鼻・口に泡や水が入るのを怖がって頭や顔をきちんと流せていないことも多いです。その点を意識して、まずは皮膚が密着するところはしっかり伸ばしてすすぐようにしましょう。顔については、赤ちゃんは自分で目を閉じてくれるので、頭を少し起こしてあげて、おでこからしっかり流してあげましょう。

「保湿」について

肌の乾燥を防ぐために「保湿」が重要です。
保湿のコツは十分な量の保湿剤を使うことです。

たとえばチューブタイプの軟膏を使っている場合、指先から第一関節(指先に一番近い関節)までムニュっと出した場合、この量を「1ムニュ」と名付けます(1FTUという正式な呼び方がありますが)。「1ムニュ」で塗っていい範囲は大人の手のひら2枚分です。

生後3~6か月程度の赤ちゃんに必要な保湿剤の量は次のようになります。

  • 顔と首 = 1ムニュ
  • 両腕  = 2ムニュ(片腕で1)
  • 両足  = 3ムニュ(片足で1.5)
  • 胸と腹 = 1ムニュ
  • 背中  = 1.5ムニュ

つまり、赤ちゃんの全身を塗るのに8~9回ムニュっと軟膏を出す必要があります

2~3回で全身ササっと塗っておしまいにしている方も見受けられますが、このように保湿剤の必要量は思ったより多いです。

塗る回数も制限はありませんので、乾いてきたと思ったら繰り返し塗ると良いです。目安として、ティッシュをくっつけたらそのティッシュが落ちないくらいが良いと言われています。

「保湿剤はなにがいいですか?」という質問も多いです。これに関してはどれがいいということはなく、市販のものより処方されたものの方がいいということもありません。私は余計なものが入っておらず保湿効果が高いのでワセリンが一番好きですが、それでないといけないということもありません。重要なのは種類ではなく、しっかりとした量を使ってあげることなので、親御さんの使いやすさも大事です。使いにくいものだと自然と塗る回数も減ってしまいます。

それでも良くならない場合は?

適切に、洗い・すすぎ・保湿ができていてもなかなか良くならないこともあります。

その場合はステロイドの塗り薬が必要になります
ステロイドと聞くと副作用を心配される方もいるかと思います。「ステロイド 副作用」で検索すると、「感染症にかかりやすくなる」や「糖尿病」など、心配になるものがいくつも出てきます。しかし、その多くは全身投与(飲み薬や注射)の副作用であることが多く、塗り薬では基本的に起こりません。

ステロイドが必要なくらいの皮膚の状態であるにもかかわらず、副作用を恐れてステロイドを使用しないことは、デメリットが大きいです。ただ、副作用が心配になる親御さんの気持ちもよく分かりますので、その場合はインターネット情報で理解した気にならず、かかりつけの医師になんでも相談してください。

まとめ

湿疹の対応の基本は、「洗う・すすぐ・保湿する」です。
それぞれにちょっとしたコツや失敗しやすいポイントがあり、項目ごとに解説しました。

なかなか良くならない場合は、インターネット情報などを自分で解釈して分かった気にならず、かかりつけの医師にぜひともご相談ください(インターネットで記事を書いている私が言うのもなんですが・・・)。

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