アレルギーの検査はした方がいい?

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  • 症状がなければアレルギーの検査をする必要はありません。
  • これから食べるものについて、事前にアレルギー検査をする必要はありません。

最近は、インターネットも普及し、簡単に医療情報も手に入る時代となったため、自分で病気のことを調べる熱心な親御さんも増えてきました。親御さんのほうから、「○○の検査をしてください」と言われることも珍しくありません。

特に多いのが、「アレルギーが心配なので一通り検査してください」「離乳食を始めてアレルギーがあったら大変なので、先に調べておきたいです」などの希望です。

果たして、前もってアレルギーの検査をしておくことは意味があるのでしょうか。

アレルギーとは

われわれには、細菌やウイルスから体を守るために「免疫」というものが備わっています。
アレルギーでは、ハウスダストや花粉などの異物が入ってきたときに、免疫が過剰に働いてしまうことで、目がかゆい、鼻水が出る、じんましんが出てかゆくなるなどのいろんな症状が出ます。

特定の食べ物に対してアレルギーが起こることを、食物アレルギーと言います。

アレルギーの診断は?

アレルギーは、症状に基づいて診断をつけていきます。
そのため、「いつ、どのような場面で、どのような症状が出たのか」を正しく知ることが重要です。受診の際に説明できるように、症状を整理しておくと良いでしょう。

なにも症状がない患者さんに対して、検査だけであらかじめアレルギーを診断することは困難です。
アレルギーの血液検査はあくまでも参考にすぎず、基本的になにも症状のない方に行うことは正しくありません。もし、なにも症状がない場合に血液検査を行って、陽性となる項目があった場合は、安易にアレルギーと診断せずに慎重に判断する必要があります。

アレルギーの検査とは?

アレルギーの検査は様々なものがありますが、ここでは小児科外来で一般的に行われている特異的IgE抗体検査という血液検査についてお話します。

特異的IgE抗体とは、特定のアレルゲン(卵、乳製品、ダニ、スギ花粉など)に対して反応し、アレルギーの発症に関与する物質です。卵に対する特異的IgE、乳製品に対する特異的IgEなどと、たくさんの種類の特異的IgEがあります。
一般的には、「何か」に対してアレルギーがあると、「何か」に対する特異的IgEは高くなる傾向があるため、その数値を測ることでアレルギーの診断に役立てることができます。

アレルギーの検査は受けた方がいい?

なにも症状がなければ、アレルギーの検査を受ける必要はありません。

検査はあくまでも症状の補助でしかなく、「事前に検査を行うと食物アレルギーの有無がはっきりする」というものではありません。診断にはあくまでも症状のほうが大事で、診断をより確かにするために血液検査があります。

症状が何もない場合にアレルギーの検査を行った場合、検査が陽性(アレルギーの可能性がある)となっても、アレルギーであるかどうかはわかりません。血液検査だけで食物アレルギーと判断して、食品を過度に制限して栄養が偏ってしまうことは、お子さんの健康を害することになります。

また、特異的IgEは100種類以上の項目があります。保険診療では一度に13項目まで調べることができますが、新しい食品を始めるたびに、すべての食品の検査をすることは現実的に困難です。あくまでも、アレルギーを疑う症状があった場合に、疑わしい項目について調べていくのが正しいです。

離乳食を進めるのが心配な場合は?

離乳食を進めていく中で、アレルギーが心配な方もいると思います。

特にきょうだいに食物アレルギーのお子さんがいたりすると心配が強いかと思います。それでも、離乳食を開始するのを遅らせたり、症状がないのにアレルギーの検査をするのは、正しくありません。

離乳食で新しい食品を始めるのが心配な場合は、アレルギーの症状に速やかに対応できる平日の日中に試してみるのが良いと思います。お子さんでアレルギーが多い食品は、卵、乳製品、小麦、大豆などがあり、これらについては特に平日の日中に試すことをお勧めします。

また、アレルギーが心配で離乳食の進め方に不安がある場合は、インターネットの情報や友人からの情報だけを鵜呑みにするのではなく、小児科の先生に相談してみましょう。

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