中耳炎について

症状と病気

中耳炎は1歳までに75%のお子さんが経験すると言われており、とてもありふれた感染症です。

中耳炎という単語は聞いたことがあると思います。おそらく「中耳炎=耳の感染症」というところまでは理解している方が多いのではないかと思います。今回は、どのような症状で中耳炎に気づけるか、どのような治療が行われるのかを中心に、中耳炎について説明します。

  • 中耳炎は、のどや鼻の感染が耳に広がることで、二次的に起こります。
  • お家で中耳炎を疑う症状は、耳の痛み、耳を気にして触る、耳だれです。
  • 重症度によって治療は変わります。軽症では抗生物質が不要なことも多いです。

中耳炎は鼻やのどから感染する

中耳炎は耳の感染症ではありますが、耳の穴から病原体が入ってきて感染を起こすわけではありません。「中耳」というのは鼓膜の向こう側であり、耳の穴から直接入れる場所ではありません。

では、どのように病原体が侵入するかというと、鼻やのどと耳をつなぐ「耳管」という構造があり、そこを通って病原体が「中耳」に侵入します。中耳炎も、最初は鼻やのどの感染症(いわゆる風邪)から始まります。
そのため、「風邪と診断されたのに、2日後に別の病院で中耳炎と言われた!」ということもあるかもしれません。最初に診た医者は見落としたわけではなく、その時点では中耳炎ではなかった可能性が十分考えられます。

「耳管」は大人にもあるのですが、小児のほうが太く・短く・傾斜が緩やかなため、病原体が侵入しやすく、中耳炎は大人よりも子どもで多い病気になります。

中耳炎の症状は?

中耳炎の症状は、耳の痛み、耳漏(耳だれ)、耳閉感(耳が詰まった感じ)です。

まだ自分で痛みを伝えられない小さなお子さんではわかりにくい症状です。その場合は、不機嫌でぐずぐずしている、耳を気にしている、耳をよく触っているなどで気づくことがあります。
熱が上がることもあります。また、鼻やのどの感染症から中耳炎になることが多いため、咳や鼻水といった一般的なかぜの症状も伴っていることがあります。

中耳炎かもと思った時は、お近くの小児科や耳鼻科へ相談し、耳の診察をしてもらいましょう。

中耳炎の重症度は?

中耳炎は、症状と鼓膜の診察によって軽症、中等症、重症の3段階に分けます。

たとえば、軽い耳の痛みと不機嫌だけで、鼓膜も少し赤いだけという場合は軽症になります。高熱と持続的な耳の痛みがあり、鼓膜全体が赤く膨れ上がっている場合は重症になります。

中耳炎の治療は?

中等症以上の場合は最初から抗生物質(抗菌薬)を使用しますが、軽症の場合は、ほとんどの場合で抗生物質は不要です。痛み止め・解熱薬などを使いながら3日程度様子をみて、3日経ってもよくなっていない場合は抗生物質を開始することが一般的です。

抗生物質も副作用があることと、抗生物質が効きにくい耐性菌を世の中に増やさないようにするために、必要最小限の使用を心掛けます。

重症の場合や、適切な抗生物質を使用してもよくならない場合は、鼓膜を切開することがあります。

最後に

中耳炎は特別な治療をしなくてもよくなるケースも多いですが、反対に、抗生物質を使わないとなかなかよくならない場合もあります。

かぜと診断されていても、なかなかよくならない場合や、「中耳炎かも」と思う症状が出てきたときは、もう一度病院に相談しましょう。最初に診察されたときは中耳炎ではなくても、あとから中耳炎になることもあります。

※今回説明した中耳炎は、正確には「急性中耳炎」と言いますが、わかりやすさから中耳炎で統一しました。

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