「喘息」という言葉は誰でも一度は聞いたことはあると思います。
ただし、「喘息ってなにか」を正しく説明できない方も多いのではないでしょうか。今回は、小児科でとてもありふれた病気である「喘息」について解説します。
ちなみに、今回お話しする「喘息」は、「気管支喘息」と表記する方が正しいのですが、わかりやすさを重視して「喘息」と書きます。
また、独立行政法人環境 再生保全機構というところが出しているおしえて先生!子どものぜん息ハンドブックというものが大変分かりやすくイラスト付きなのでおススメです。
喘息ってなあに?
「喘息」とは、空気の通り道である気管支が狭くなることで、呼吸が苦しくなったり、咳が出たり、ゼーゼー・ヒューヒューという音が聞こえたりする病気です。
喘息の方も、常に呼吸が苦しかったり咳をしていたりするわけではありません。「喘息」というのは体質のようなもので、何かのきっかけがあると、このような症状が出てきます。喘息の症状のことを「喘息発作」といいます。
喘息発作のきっかけって?
何らかのきっかけがあると、喘息発作が起きると説明しました。「何らかのきっかけ」には以下のようなものがあります。子どもの場合、風邪を引く頻度が多いので、風邪がきっかけになることが特に多いです。
- ウイルス感染(風邪など)
- ハウスダストやダニ、カビ、花粉などを吸いこむこと
- 激しい運動
- 気温差(冷たい空気など)
「喘息」の治療は?
喘息の治療は、次の2つに分けて考えます。
- 「喘息発作」の症状に対する治療
- 「喘息発作」を起こさせないための予防的な治療
「喘息発作」の症状に対する治療
喘息発作の程度により、以下のように治療をされることが一般的です。
- 軽い発作 → 気管支を広げる吸入や、気管支を広げるテープの薬
- 中くらいの発作 → ステロイドの点滴or飲み薬(+軽い発作の治療)
- 強い発作 → 気管支を広げる薬の持続吸入(+中くらいの発作の治療)
中くらい以上だと酸素が必要なことも多く、入院を考慮します。
「喘息発作」を起こさせないための予防的な治療
喘息は、症状あるときだけ治療をすればよいというわけではありません。
何度も同じところを怪我すると傷跡が消えなくなるのと同じで、何度も「喘息発作」を繰り返すことで、気道が弱ってしまいます。そのため、喘息発作をなるべく起こさないようにしてあげることが大事になります。
予防的な治療は、飲み薬と吸入の薬があります。喘息の重症度は、どれくらいの強さの喘息発作が、どれくらいの頻度で起こるかで決まります(強さ×頻度=重症度)。重症度によって予防の薬は変わってきます。
喘息の薬を使っていても、喘息発作が多い場合は、今の薬で足りているのか相談しましょう。反対に、必要がないのにだらだらと続ける薬ではありません。3か月以上落ち着いている場合もお薬の見直しをしてもらいましょう。
薬以外に大事なことは?
薬による治療以外に、喘息発作を起こさないための環境調整が大事です。
- タバコはやめましょう!禁煙は楽ではないかもしれませんがお子さんのためです。
- こまめに掃除機をかけましょう。
- 寝具類もこまめに洗濯し、天日干しや乾燥機でしっかり乾燥させましょう。
- じゅうたんやカーペット、ぬいぐるみはなるべく置かないようにしましょう。難しい場合はこまめに洗濯しましょう。
- ペットは簡単に手放すことはできませんが、飼育はおすすめできません。
喘息があっても運動していいの?
喘息があっても運動を制限する必要はありません。
むしろ、体力をつけて、肥満を予防するためにも適度な運動はするべきです。
ただし、喘息の程度が強い方や、治療がうまくいっていない方の中には、運動によって喘息発作が引き起こされることがあります(運動誘発喘息)。運動している途中に、呼吸が苦しくなったり、ゼーゼー・ヒューヒューしてきたときは、運動を中止してください。運動を中止しても良くならない場合や、息苦しさが強い場合は、病院を受診してください。
喘息と紛らわしい病気:喘息性気管支炎
お子さんは空気の通り道が狭いため、ただのウイルス感染(風邪)でも、ゼーゼー・ヒューヒューしたり、呼吸が苦しくなったりと、喘息のような症状を起こすことがあります。
そのため、「風邪の症状で喘息っぽく見えるのか」、「風邪がきっかけで喘息の症状が出ているのか」を見分けることがとても難しいことがあります。
この場合は、ご家族に喘息の方がいるか、いままでに同じような症状を繰り返しているか、アレルギー体質はどうかなどを参考にして判断していきます。喘息の吸入薬が効くかどうかを参考にすることもあります。
喘息性気管支炎であれば、特別な治療薬はなく、治った後も予防の薬などは必要ありません。
まとめ
喘息は繰り返すことで診断がつく病気なので、たった1回のエピソードで診断することは難しいです。
そのため、一期一会の診療では見逃されてしまう可能性があります。
何度もゼーゼー・ヒューヒューを繰り返している場合は、そのことをお医者さんに伝えてみるのが良いでしょう。
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