風邪の症状、病院に連れて行った方がいい?

症状と病気

子どもは一年に8~10回も風邪をひくと言われています。
そのため、しょっちゅうお子さんの風邪に悩まされている親御さんも多いことと思います。

そもそも「風邪」とはなんでしょう?

頑張りママ
頑張りママ

そもそも、「風邪」ってなんですか?

小児科の先生
小児科の先生

「風邪」=「ウイルスによる気道感染」です

「風邪」というのは特定の診断名ではなく、明確な定義があるわけでもありません。
そのため、「風邪」という言葉を使う人によって、実は違うものを指している可能性もありますが、一般的には「鼻やのどにウイルスが感染して、鼻水やのどの痛み、咳などが出ている状態」を「風邪」と言うことが多いです。
子どもの風邪のウイルスは何百種類もあると言われていて、代表的なのがライノウイルスというものですが、わざわざ検査する必要もないのであまり聞いたことがないウイルスではないかと思います。

「ウイルス」と「細菌」の違い

「ウイルス」と「細菌」の違いについて説明します。
子どもの感染症の原因は、細かいものを除いて、ウイルスと細菌の2つがあります。
ウイルスは、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ノロウイルス、新型コロナウイルス・・・などと、「○○ウイルス」という名前が付いています。
細菌は、溶連菌、ブドウ球菌、大腸菌・・・などと、「○○菌」という名前が付いています。

「ウイルス」と「細菌」で治療は変わるの?

細菌には抗生物質が有効です。
抗生物質とは、正しくは抗菌薬と言いますが、その名の通り「菌に対抗するための薬」です。細菌とウイルスは構造が全く違うので、細菌を殺すために作られている抗生物質は、ウイルスには効きません。
ウイルスの治療はどうでしょうか。インフルエンザウイルスに対するタミフルのように、一部のウイルスには抗ウイルス薬が作られておりますが、これは稀なケースです。ほとんどのウイルスに有効な薬はありません。それでも、年に8~10回風邪を引く子どもたちが元気に大人になっていくのを見ればわかるように、ウイルスの場合は自分の免疫力で自然に治っていくのです。
何かしらの薬を出されることもありますが、薬がウイルスを治しているわけではなく、自分の免疫力で治しているのです。

「風邪」でも念のため抗生物質が欲しいのですが・・・

風邪(ウイルス感染)に抗生物質は効きません。
効かない抗生物質をむやみに出すことは、世の中に抗生物質が効かない菌(耐性菌)が蔓延するきっかけになるので、我々医師はなるべく不要な抗菌薬を出さないように努力しています。それだけでなく、よくおなかを下したり、稀ですが重症の薬疹を引き起こしたりと、抗生物質にも副作用があります。

なお、最初の段階では「風邪」だったのですが、風邪のウイルスで呼吸器官が傷んだり痰がたまったりすることで、二次的に「細菌」が感染することがあります。その場合は、風邪→細菌感染と診断が変わるので、抗生物質が必要になることもあります。
しかし、最初の段階で抗生物質を飲んでいれば予防できるというものではありませんので、やはり、細菌感染と診断されてから抗生物質を使うのが正しいです。

じゃあせめて、抗生物質以外の薬は出してもらった方がいいですよね?

風邪と診断された場合必ずしもお薬を飲まないといけないわけではありません。

風邪の時に出される薬は、咳や痰、鼻水、のどの痛みなどの症状を和らげるようなお薬が一般的です。病気を治す薬ではなく、あくまでも症状を和らげる薬なので、飲まないと治りが悪いということはありません。「咳がつらくて夜眠れない」や、「痰が出せなくて辛そう」など、症状によって困ったことが起きていればそれを少しでも和らげてあげたいのでお薬を出します。
逆に言うと、「鼻水や咳はありますが、元気にしているし、あまり困ったことはありません。」という状況であれば、あえて薬を飲む必要はないと思います。

「お薬を飲んでだいぶ良くなりましたが、まだ少し咳が残っています。完全に治すためにもう1週間分お薬をください。」などと言われることがあります。その場合、「治ったのはお薬の力ではなく自分の免疫力のおかげです。追加でお薬を飲んだからと言って治りが早くなるわけではありませんよ。」と説明しています。それを理解していただいたうえで、今の症状で困っているのならば、追加でお薬を飲んでもいいと思います。

「ウイルス」と「細菌」はどうやって見分けるの?

ここを判断するのは医師の仕事ですので、自宅で簡単に判断することは難しいと思いますが、参考になるポイントはあります。

一般的に細菌のほうが、重症感が強い、悪くなるスピードが速いという恐さがあります。
ぐったりしている様子が強い、顔色が悪い、機嫌が悪い、食欲がない、熱が長引いている・・・などなど。「いつもの風邪とはちょっと違うな」と感じたら、自宅で頑張らずに医療機関に相談に来てください。

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