「毎月のように頭が痛いと訴える。小児科に行くべきか迷う…」
そんな悩みを抱える保護者の方も少なくありません。
頭痛の原因として特に多いのは「片頭痛(へんずつう)」と「緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)」。この2つは成人でも多い疾患ですが、子どもでもよく出会います。今回は、これら2つの違いや、病院を受診するタイミング、家庭での対応法について、小児科医の立場から詳しく解説します。
2つの頭痛の特徴
小児の頭痛で最も多いのが緊張型頭痛で、2位が片頭痛です。緊張型頭痛は比較的軽症であり病院を受診しないことも多く、病院を受診する頭痛に限ると、片頭痛がトップになります。
片頭痛は小学生の3.5%、中学生の5%、高校生の15%が経験しています。緊張型頭痛は小学生の5%、中学生の11%、高校生の27%が経験しています。
● 片頭痛とは?
- 症状の特徴:「ズキンズキン」と脈打つような強い痛み(片側または両側)
- 持続時間:2時間〜72時間
- 痛みの程度:中等度〜重度(日常生活に支障あり)
- 随伴症状:吐き気、嘔吐、光・音・においに敏感になる
- 増悪因子:体を動かすと悪化する
● 緊張型頭痛とは?
- 症状の特徴:頭の両側に「締めつけられるような」重だるい痛み
- 持続時間:30分〜7日間ほど続くことも
- 痛みの程度:軽度〜中等度(日常生活は送れることが多い)
- 随伴症状:吐き気・嘔吐は基本なし。光や音への過敏もほとんどない。
- 増悪因子:日常動作で痛みが強くなることは少ない
「ただの頭痛」と思わずに。受診が必要なサイン
- ろれつが回らない、手足が動かしにくい、意識がもうろうとするなどの神経症状を伴う(緊急受診のサイン)
- 月に2回以上の強い頭痛があり、学校を休む・寝込むことがある
- 市販薬や解熱鎮痛薬で痛みが和らがず、日常生活への支障が大きい
- 夜間や早朝など、睡眠を妨げるほどの強い痛み
医師はどうやって診断するの?
片頭痛や緊張型頭痛は、血液検査や画像検査では診断できません(検査は「ほかの病気でないこと」を確認するために行います)。
診察でも特別な異常が見られることはなく、これまでの頭痛症状がどんなものだったかを詳しく聞くことで診断をします。
治療はどうするの?(薬の使い方)
● 急性期治療(発作時の対応)
軽い頭痛なら生活習慣の見直しや休息で改善することもありますが、痛みが強い場合は薬の使用も検討されます。
- アセトアミノフェン(カロナール®など):安全性が高く、使用しやすい。
- イブプロフェン(ブルフェン®など):特に効果的。ガイドラインでは第一選択。
- トリプタン製剤(スマトリプタン点鼻など):片頭痛に特化した薬。小児でも使用実績があるが、専門医が慎重に判断して処方する。
● 予防治療(頭痛の回数や重症度を減らす)
急性期治療だけで十分な効果が得られず日常生活への支障が高い場合は、頭痛の回数や重症度を和らげることを期待して、日ごろから予防的な飲み薬を使用することがあります。 専門的な内容のため薬の詳細は省略します。
家庭でできること(非薬物療法)
片頭痛と緊張型頭痛は、日常生活で以下のような改善を図ることが大切です。一部の患者さんは、薬を使用しなくともこれらを調整することで十分な改善が得られます。
- 睡眠のリズムを整える(早寝早起き)
- 朝食をとる、空腹を避ける
- スマホやゲーム時間を減らす
- ストレスをためこまない(頑張りすぎている子には休む時間を)
- 片頭痛の誘因(チョコ、強い光、においなど)を記録し、なるべく避ける
「頭痛ダイアリー(記録表)」を使うと、症状の傾向や誘因の把握、医師との連携にも役立ちます。
おわりに:子どもの「頭が痛い」は、大人の想像以上に深刻なことも
子どもはまだ、自分の痛みをうまく説明できないこともあります。
「ただの疲れ」や「気のせい」で片づけず、繰り返す場合は、どうぞ気軽に小児科へご相談ください。
小児の頭痛は適切な対応で、きちんとコントロールできます。親御さんの気づきが、子どもの生活の質を大きく変える一歩になるかもしれません。



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