突発性発疹症(とっぱつせいほっしんしょう)は熱と発疹を特徴とする感染症で、2歳までにほとんどのお子さんが経験します。生まれて初めての熱が突発性発疹症だったというお子さんも多いことでしょう。
「突発(とっぱつ)」と省略されて呼ばれることも多いです。
基本的に治療は必要なく自然に良くなる感染症なので、あまり問題となることはないのですが、高熱が続いて不安を感じる親御さんも少なくありません。
突発性発疹症の原因は?
突発性発疹症は、「ヒトヘルペスウイルス6」と「ヒトヘルペスウイルス7」というウイルスが原因の感染症です。
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスと違って、一般的な病院で調べることのないウイルスですので、検査で証明されることはなく、症状の経過から診断がつきます。
どこから感染するの?
突発性発疹症のウイルスは、一度感染を起こした人の体内に潜伏します。
3歳以上のほとんどの人は、突発性発疹症にかかったことがあるはずで、唾液からは少量のウイルスを常に排出しています。
そのようなウイルスが、これまで突発性発疹症になったことがないお子さんの体内に入ると、突発性発疹症として症状が出現します。つまり、一般的な風邪と違って、「以前感染していたけどいまは症状がない人」からうつる病気です。
お父さん・お母さんや年上のきょうだい、保育園のお友だちなど、いろんな場所で感染の機会はありますが、どのお子さんも基本的に必ずかかってしまう病気ですので、特別な感染対策をする必要はありません。
突発性発疹症の症状は?
突発性発疹症はまず発熱で始まります。
38度以上の高熱が数日(主に3~4日)続きます。のどの診察で「永山斑」という赤い隆起があり診断の参考になりますが、発熱だけのこの時点では、診断がわからないこともあります。
熱が下がってくるタイミングで、赤いポツポツとした発疹が全身に出現します。この時に「突発性発疹症でしたね」と診断がつくことが多いです。
何歳のお子さんがなる病気なの?
2~3歳までにほぼすべてのお子さんがかかる病気です。
はっきりとした症状が現れないこと(不顕性感染)も20~40%いることが報告されていますので、気づかないうちにかかっていたということもあります。熱は出たけれども発疹がはっきりしないケースもあります。
「ウチの子小学生だけど、突発になったことないからこれからなるのかしら?」と心配されている方は、不顕性感染だった可能性が高く、その場合はこれから感染することはありません。
また、生後6か月まではお母さんからもらった抗体があるため、その間に発症することは少ないです。
突発性発疹症は繰り返すの?
突発性発疹症は「ヒトヘルペスウイルス6」と「ヒトヘルペスウイルス7」という2つのウイルスが原因ですので、2回感染することが普通です。
ただし、それぞれ一度感染すると免疫力を獲得するため、同じウイルスで再び発症することは基本的にありません。
「突発性発疹症に2回なったよ」という方は3回目の心配は基本的にありませんし、「1回しか(もしくは1回も)なったことがない」という方でも、年長なお子さんであれば前述した「不顕性感染」だった可能性が高いです。
気を付けることは?
突発性発疹症は基本的に何もしなくても自然に良くなり後遺症を残すこともありません。
ただし、熱が下がってきて発疹が出ることでようやく診断が付くことが一般的ですので、高熱が続いている最初の数日の間は、突発性発疹症と決めつけることができません。他の発熱性疾患の可能性もありますので、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、飲食できない、熱が4~5日続くというときは小児科に相談してください。
また、突発性発疹症は熱性けいれんの原因になることも多いです。熱性けいれんについてはこちらの記事で解説していますので、よければ参考にしてください。突発性発疹症のウイルスは、急性脳症というまれですが緊急性の高い疾患の原因になることもあります。けいれんが5分以上続く場合や意識の様子がおかしい場合は速やかに病院を受診してください。
コメント