こんにちは、小児科専門医のかなけいです。
いよいよ夏本番ですね!楽しい季節ですが、医療の現場では「熱中症」の患者さんが急増する、ちょっとヒヤヒヤする季節でもあります。
今回は、保護者の皆さんにぜひ知っておいてほしい「2025年版・熱中症対策」のポイントをまとめました。今年の夏も、大切なお子さんを守るために、ぜひ最後まで読んでみてください。
熱中症ってどんな病気?
熱中症とは、暑さによって体温調節がうまくいかなくなり、体にさまざまな不調が起きる状態のこと。軽症なら立ちくらみや足がつるといった症状で済みますが、重症になると意識障害や命に関わることもあります。
実は、昨年は全国で約10万人が熱中症で救急搬送され、これは統計開始以来最多。しかもその中で約1万人が小児でした。つまり、「子どもだから大丈夫」ではなく、むしろ大人以上に注意が必要なんです。
なぜ子どもは熱中症になりやすいの?
子どもは大人と比べて次のような理由で熱中症にかかりやすくなります:
- 地面に近い=暑さを感じやすい
アスファルトの照り返しの影響で、子どもの体感温度は大人より2〜3℃も高くなります。 - 体のつくりの違い
体重あたりの体表面積が大きく、熱を受けやすい。さらに体温調節機能(汗をかく力など)も未熟です。 - 「無理をしちゃう」気質
遊びに夢中になって水分をとらなかったり、部活動などで「休んだら怒られるかも」と無理をしてしまったりします。
これらの理由から、小さな子どもほど、周囲の大人が気づいてサポートしてあげることがとても大切です。
熱中症のサインと応急処置
熱中症には大きく3段階の症状があります。
重症度 | 症状 | 対応 |
軽度(I度) | 立ちくらみ・筋肉のけいれん(足がつるなど) | 涼しい場所に移動、服をゆるめ、冷やす、水分・塩分補給 |
中等度(II度) | 頭痛・吐き気・だるさ | 病院の受診が必要!並行して冷却と水分補給を |
重度(III度) | 意識障害・けいれん | 救急車を呼ぶ!待機中は冷却と救急隊からの指示に従って! |
特に「意識がもうろうとしている」「発汗が止まっている」などが見られたら、ためらわず救急車を呼んでください。
予防のカギは「水分」「涼しさ」「声かけ」
水分補給のコツ
「のどが渇く前に飲む」のが大原則。
朝起きた後、外に出る前、遊びの途中と後、食事時、お風呂の前後、寝る前…とスケジュール化するのが理想的です。
- 普段 → 水・麦茶でOK
- 汗をかく運動時 → スポーツドリンク
- 熱中症気味 → 経口補水液(OS-1など)
甘いジュースや炭酸を普段から水分補給として飲用することはお勧めしません
暑さ対策の工夫
- 服装:通気性の良い綿素材、白やパステルカラーの服が◎
- 時間帯:午前10時〜午後3時の外出は控えめに
- 場所:日陰を意識し、こまめに休憩を
- 体調不良時は無理をしない:ちょっとの風邪でも、熱中症と重なると重症化しやすいです
声かけのコツ
「お水飲む?」より「一緒に飲もうね♪」が効果的。
子どもは自発的に水分をとりにくいため、大人の自然な誘導がポイントです。
室内も要注意!
「家の中だから大丈夫」はNG。
換気が悪かったり、エアコンを我慢していたりすると、室内でも熱中症は起こります。室温はこまめにチェックし、必要ならためらわず冷房を!
まとめ:今年の夏も「熱中症を自分ごとに」
2025年の夏も例年通り暑くなる見込みです。
「子どもは大人より暑く感じやすい」
「子どもは我慢してしまう」
「早めの対応が命を守る」
この3点をぜひ覚えておいてください。大人ができることを一つずつ実践して、子どもたちが元気に夏を過ごせるようサポートしていきましょう!
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