「熱が出ている=いち大事」ではありません。速やかに病院を受診した方が良い場合と、おうちで様子を見ることができる場合とがあります。今回は、どんなときに病院を受診するべきかをまとめました。
また、熱に関してよく聞かれることをまとめた記事、「熱は何度まで大丈夫なの?熱は下げた方がいい?」もよければ参考にしてください。
熱が出た時にチェックすべき項目
熱が出ていたら、以下のものに当てはまるものはないか、確認してください。
- ぐったりしていないか?(遊んだり、会話したりできているか?)
- 顔色は悪くないか?
- ある程度食事が食べられているか?
- 呼吸は苦しそうではないか?
- 熱が長引いていないか?
- 風邪の症状以外に変わった症状が出ていないか?
- お子さんは3か月未満ではないか?
どれも当てはまらない場合は、特別な治療が必要のない熱であることが多いです。
その場合、原因ははっきりしないことが多いですが、何らかのウイルス感染であることが多いです。
ウイルス感染には抗生物質は必要なく、それ以外にも治りを早くする薬はありません。
詳しくは「風邪の症状、病院に連れて行った方がいい?」に記載していますので良ければお読みください。
ぐったりしていないか?顔色が悪くないか?
熱があっても、起きているときは元気に遊んでいられるのであれば、心配しなくても良いケースの場合が多いです。 ぐったりしていて遊ぶことができない、呼びかけに対して反応がいまひとつ、意識がはっきりしていない、顔色が悪いという場合は、重症な感染症が隠れていることもありますので、速やかに医療機関を受診してください。
ある程度食事が食べられているか?
「ある程度」というのがどのくらいかは明確な基準がないのですが、「食事はほとんど食べられなくて、水分もいまひとつです」という場合は、医療機関を受診してください。
お子さんは水分が取れないと脱水になってしまうリスクが高いです。下痢をしていて水分が多く失われている場合はなおさら危険です。 胃腸炎のような、特別な治療がいらない自然に治る病気であっても、小さいお子さんにとっては脱水のリスクのある怖い病気になりえます。水分摂取・食事の量に不安がある場合は受診するようにしてください。
呼吸は苦しそうではないか?
気管支炎や喘息など、呼吸が苦しくなる原因は様々です。
原因がいずれであっても、呼吸障害が強い場合は入院して酸素を投与する必要がありますので、速やかに病院を受診してください。
「呼吸が苦しそう」を示すサインには以下のものがあります。
・普段と比べて呼吸が早い
・肩を上下させて呼吸をしている
・息を吸うたびに鼻の穴を膨らませている
・息を吸うたびに肋骨の下、鎖骨の上、首のつけ根がべこべこへこむ(陥没呼吸)
・ゼーゼー、ヒューヒューという音が聞こえてくる
・横になると苦しくて寝られない
陥没呼吸に関しては、言葉では理解が難しいと思います。
こちらにわかりやすいYouTube動画がありましたので、ご紹介させていただきます。
熱が長引いていないか?
一度病院で「風邪」と診断されている場合でも、熱が4日以上続いている場合は、何か見落とされている病気がないか、再度診察を受けるようにしてください。一度も病院を受診せずにおうちで様子を見ている場合は、2~3日熱が続く場合は一度受診することをお勧めします。
ただし、普通の風邪であっても、熱がどれだけ続くかは個人差が大きいです。
熱が長く続いているからといって、必ずしも「風邪ではない」「怖い病気が隠れている」というわけではないので過度に心配する必要はありません。
風邪の症状のほかに、変わった症状が出ていないか?
咳、鼻水、のどの痛みなど、風邪の一般的な症状のほかに、変わった症状が合わさっている場合は注意が必要です。たとえば以下のようなものがありますが、それ以外にも変わった症状がある場合は受診をするようにしてください。
- 激しい頭痛
- けいれん
- オットセイや犬が吠えるような激しいせき込み
- 繰り返す嘔吐
- 目の充血 ・発疹
- 一か所に集中する強い腹痛
(例)お腹の右下が強く痛む場合、虫垂炎(盲腸)の可能性があります。
目の充血や発疹などは、怖い病気ではない場合も多いですが、川崎病などの治療が遅れると良くない病気もありますので、一度は病院を受診した方が良いでしょう。
お子さんは3か月未満ではないか?
お子さんの月齢が3か月未満の場合は、上記の項目に当てはまるものがなくても特別な対応をします。
3か月未満は、免疫力が十分ではないこと、予防接種が完了していないこと、症状がわかりにくいことから、一見すると問題なさそうに見えても実は怖い病気が隠れていて重症化する恐れがあります。
そのため、3か月未満の発熱も、実際はほとんどが風邪で治療がいらないものが多いのですが、重症の感染症が否定できるまでは入院させて抗生物質(抗菌薬)で治療を行うことが多いです。
3か月未満の発熱に関しては、元気そうに見えても必ず病院を受診するようにしてください。
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