こんにちは。小児科医のかなけいです。
先月の自閉スペクトラム症(ASD)に引き続き、それと並んでよくみられる神経発達症のひとつ、注意欠如多動症(ADHD) についてお話ししたいと思います。
ADHDは「集中と行動のコントロールの特性」
ADHDは、日本語の病名の通り「注意のコントロール」と「行動の衝動性や多動性」に苦手がある発達の特性です。
ADHDのお子さんには次のような傾向が見られることがあります。
- 集中が続きにくい、忘れ物が多い
- 興味のあることには夢中になれるが、そうでないと取り組めない
- じっとしているのが苦手で、動き回ってしまう
- 順番を待つことや我慢することが難しい
- 思ったことをすぐに口にしてしまう
ただし、これらはすべてのお子さんに当てはまるわけではなく、症状の程度や現れ方には大きな個人差があります。
ADHDは育て方のせい?
これはよくある誤解なので最初に説明しておきます。
ASDもADHDも生まれつきの脳の特性であり、親御さんの育て方が原因ではありません。
私の外来でも、「しつけが甘いからでしょうか?」「厳しくしすぎたからでしょうか?」と相談を受けますが、ADHDのお子さんに共通する育て方はありません。家庭環境によって症状が悪化することはあっても、発症の原因は育て方そのものではないのです。
ADHDのよくある特徴
ADHDは大きく3つのタイプに分けられます。
- 不注意優勢型
→ 忘れ物が多い、課題に集中できない、片付けが苦手など。 - 多動・衝動優勢型
→ じっとできない、順番を待てない、思いついた行動をすぐにしてしまうなど。 - 混合型
→ 上記の両方の特徴をあわせもつ。
ASDと同様に、大事なのは診断名そのものよりも、生活の中で困りごとが生じているかどうかです。
治療と支援について
ADHDそのものを根本的にゼロにする治療法はありませんが、困りごとを減らす方法はあります。ASDとの大きな違いとして、薬物療法が大きな効果を発揮することがあります。
療育・社会的支援
- 児童発達支援や放課後デイサービスなどでの療育
- 学校や先生との連携による学習・生活のサポート
- ペアレントトレーニングを通じた保護者の対応方法の学習
薬物療法
必要に応じて医師が処方します。
- 集中を助ける薬(メチルフェニデート、アトモキセチンなど)
- 睡眠の改善や不安・衝動性の軽減を目的とした薬
ご家庭でできる工夫
診察でよくお伝えしているのは、「環境を整えて、成功体験を積み重ねる」ことです。
- 見通しを立てやすくする:タイマーや絵カードで「いつまでに何をするか」を伝える
- 宿題や作業は短く区切って、終わったら小さなごほうびを用意する
- 指示は短く具体的に:「ちゃんとしなさい」より「ノートをランドセルに入れてね」
- 動いてもいい「安心できる場所」を用意する
- 成功したらすぐにほめる
- 「わざとやっている」「困らせようとしている」と誤解されることもあるが、本人もやりたくてやっているわけではないことを理解する。一番困っているのは本人である。
まとめ
ADHDは「集中」「行動のコントロール」に特徴がある神経発達症です。
困りごとがあるときには、診断名よりも 「どう支援したら生活しやすくなるか」 を一緒に考えることが大切です。
ときに薬物療法で大きな改善を認めることもあるので、困っている時は遠慮なく医療機関へご相談ください。お子さんが自分らしさを発揮できるように、家庭・学校・医療が協力し合って支えていきましょう。困ったときは、一人で抱え込まずに小児科や発達支援機関にご相談ください。



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