こんにちは、かなけいです。
子どもの保健と育児を支援する雑誌「チャイルドヘルス」最新号 「今知りたい 特別支援教育」にて、巻頭言 『ちがうままで,ひらく花もある.―特別支援教育と,わたしの脇道人生』を執筆させていただきました。
本書は、特別支援教育に関わるすべての方々へ届けたい最新号です。
これに関連して、今月のかなけい小児科ブログでは、医療者や学校関係者ではないすべての方々へ向けて、「特別支援教育とはなにか?」というテーマについて、分かりやすく解説したいと思います。
特別支援教育とは?
「特別支援教育」という言葉を聞くと、
「特別な学校の話?」
「障害のある子どもだけの教育?」
といったイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、実際の特別支援教育は、もっと広く、もっと身近なものです。
簡単に言うと、「その子に合った学び方を一緒に考える教育」これが特別支援教育の本質です。
子どもたちは、一人ひとり違います。理解のスピードも、得意なことも、苦手なことも、みんな違います。
ある子は、
- 話すことは得意だけれど、文字を読むのが苦手
- じっと座っているのが苦手
- 音や光にとても敏感
- 人の気持ちを読み取るのが少し難しい
そんな特徴を持っていることがあります。
こうした特性のために、通常の教え方ではうまく学べないことがある子どもがいます。
その子たちに対して、
- その子に合わせた学び方を提供する
- 環境を整える
- 必要な支援を行う
これが特別支援教育です。
特別支援教育を受ける場所は?
以前は、障害のある子どもは「特別支援学校」という別の学校で教育を受けることが多くありました。もちろん今も特別支援学校は重要な役割を担っています。
しかし現在の日本では、「できるだけ同じ地域で学ぶ」という考え方が広がっています。
そのため、
- 通常の学級
- 通級指導教室
- 特別支援学級
- 特別支援学校
といったさまざまな学びの形が用意されています。
例えば、
- 普段は普通学級で学びながら、週に数時間だけ支援を受ける
- 苦手な教科だけ別の教室でサポートを受ける
- 苦手な時間帯だけ特別支援学級を利用する
といった形もあります。
どんな子どもが対象なの?
特別支援教育の対象は、実はとても幅広いです。
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠如多動症(ADHD)
- 限局性学習症(SLD)
- 知的発達症
- 聴覚・視覚・身体の障害
- 医療的ケアが必要な子ども
などが含まれます。
ただし大切なのは、「診断があるかどうか」だけでは決まらないということです。
例えば、
- その子の特性によって、授業についていくのが難しい
- 集団生活で困りごとが多い
- 読み書きだけ極端に苦手
こうした子どもたちに対して、学校が必要と判断すれば、特別支援教育の支援が行われることがあります。
つまり特別支援教育とは、「診断ありきの制度」ではなく「困りごとをベースにした制度」なのです。
特別支援教育はその子の能力を伸ばすため
保護者の方の中には、
「特別支援教育を受けると、甘やかされてできることも身につかないのでは?」
「無理させてでも普通のクラスに入れた方が成長するのでは?」
と考える方もいます。
しかし、一般的に我々特別支援教育に関わる者たちはその逆の考え方を持っています。
つまり、
「通常学級では期待できる成長が抑えられてしまう」
「特別支援教育を利用することでより成長することが期待できる」
と考えて、特別支援教育を進める場面が多いです。
たとえ話ですが、
- 視力が悪いので眼鏡をかける
- 耳の聞こえが悪いので補聴器を使う
- 足に不自由があるので車椅子を使う
これらは「甘やかし」でしょうか?
そうではありません。その人が生活しやすくするための道具です。
特別支援教育も同じです。
- 読みやすいプリント
- 静かな席
- その子に合わせた学習時間
- わかりやすい説明
こうした工夫は、「学びやすくするためのサポート」なのです。
「違い」をなくすのではなく、「違い」を活かす
私は小児科医として、神経発達症の子どもたちをたくさん診てきました。その中でいつも感じることがあります。
それは、子どもたちは本当に一人ひとり違うということです。
みんなと同じ行動が苦手でも、
ある子は、みんなが思いつかないような発想をします。
ある子は、一つのことを驚くほど深く追求します。
ある子は、とてもやさしい感受性を持っています。
もし学校が「みんな同じ」であることだけを求めたら、こうした個性は見えなくなってしまいます。特別支援教育は、「違いをなくす教育」ではなく「違いを受け入れる教育」です。
大切なのは、「同じ形に育てること」ではなく、「その子が輝ける環境を整えること」ではないでしょうか。
もしこの記事が、特別支援教育を少し身近に感じるきっかけになれば、とても嬉しく思います。


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