新生児マススクリーニングとは、生まれつきの代謝の病気を見つけるために行われる検査です。通常生後5日目前後に採血を行います。かかとからの少量の採血で検査可能です。
近年、新生児マススクリーニングで検査できる病気は増加傾向にあり、代謝以外の病気も加わるようになっています(拡大新生児スクリーニング検査)。
新生児マススクリーニング対象疾患の特徴
新生児マススクリーニングで検査する病気のほとんどは、最初の時点では見た目や診察でわかりづらく、まれな病気のため小児科医であっても実際に診療経験がない医師も多いという特徴があります。そのため検査がなかった時代には、診断までにとても時間がかかり、疾患によっては症状が出てから診断までに十年以上かかるものもあります。
その一方で、早期発見・早期治療が重要な疾患がほとんどであり、早めに見つけてあげることがその子の将来に大きな影響を与えます。
代謝の病気とは?
代謝というのは、食べたものを必要なエネルギーに変え、不要な部分は身体から排出する過程のことです。代謝に異常があると、必要なエネルギーが生み出されなかったり、不用品が身体に蓄積したりして、様々な身体の不調を引き起こします。発達に遅れがみられたり、けいれんや意識障害、呼吸障害などの急変で救急外来を受診したりすることもあります。
新生児マススクリーニング陽性は病気確定??
「検査陽性=診断確定」ではなく、専門医療機関での詳しい検査を行ったあとに正式な判断が行われます。どんな検査にも偽陽性・偽陰性はあります。
- 偽陽性:本当は病気じゃないのに、検査では異常となること
- 偽陰性:本当は病気なのに、検査では正常となること
偽陽性の低い検査を作ろうとすれば偽陰性は高くなり、偽陰性の低い検査を作ろうとすれば偽陽性は高くなるという関係になっているので、偽陽性も偽陰性も低い検査というのを作ることはなかなか難しいものです。見逃しをゼロに近づけるためには偽陰性をとにかく下げることが重要ですが、そうすると偽陽性の患者がむやみやたらと増えることになります。ちょうどいい塩梅の検査を作るためには、一定数の偽陽性・偽陰性が存在します。
検査で陽性と出れば親御さんの心配やストレスはとても大きいと思いますが、偽陽性の可能性も十分あります。落ち着いて専門医療機関での検査の結果を待ちましょう。
最後に
新生児マススクリーニングの検査は義務ではなく任意ですが、日本で生まれるお子さんのほぼ100%が受けています。一方で、新しく追加された疾患まで検査できる拡大版の新生児マススクリーニングは、費用が発生することもあり、100%近い実施率とは言えません。ただし、検査の対象となる疾患は早期発見・早期治療が重要なものばかりで、診断の遅れがお子さんの一生に影響を及ぼす可能性があるので、受けることが大切であると考えます。
コメント