冬に悪化しやすい湿疹:赤ちゃんのスキンケアの基本

症状と病気

冬になると、「赤ちゃんの肌がカサカサする」「湿疹がなかなか治らない」「よくなったと思ったら、また赤くなってきた」といった相談が増えてきます。乳児湿疹はこれまでにも取り上げているテーマでありますが、やはりこの時期は特に相談されることが多いものですので、あらためて解説をさせていただきます。

見た目にも分かりやすいため、保護者の方の不安が大きくなりやすいのが、乳児湿疹の特徴です。

この記事では、小児科医の立場から

  • なぜ冬に湿疹が悪化しやすいのか
  • 家庭でできるスキンケアの基本
  • どこまで自宅で対応し、いつ病院に相談すべきか

を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

乳児湿疹とはどんなもの?

「乳児湿疹」という言葉は、特定の一つの病名を指すわけではありません。

赤ちゃんの時期にみられる、赤み・カサカサ・ぶつぶつといった皮膚トラブルの総称です。

赤ちゃんの皮膚は、大人に比べて

  • 皮膚がデリケートである
  • 外からの刺激を防ぐバリア機能が未熟

という特徴があります。

そのため、ちょっとした刺激でも炎症を起こしやすく、湿疹ができやすいのです

なぜ赤ちゃんは湿疹が悪化しやすいのか

冬に乳児湿疹が悪化しやすい理由は、大きく3つあります。

・皮脂の減少

生後2〜3か月を過ぎると、ホルモンの影響で皮脂の分泌が減ってきます。皮脂は皮膚を守る役割を果たしているため、皮脂が減ることで肌はより刺激に弱くなります。

・日常生活での刺激

よだれ、汗、ミルク、衣類のこすれ、首のしわやおむつ内のムレなど、赤ちゃんの生活は刺激の連続です。冬でも暖房の影響で汗をかきやすく、これらの刺激が重なることで湿疹につながります

冬はさらに「乾燥」という要素が加わる

冬は空気が乾燥し、暖房の使用で室内の湿度も下がります。赤ちゃんの皮膚はもともと水分を保つ力が弱いため、乾燥によってバリア機能がさらに低下し、湿疹が悪化しやすくなります。

乳児湿疹=アレルギーではありません

湿疹を見ると、「アレルギーでは?」と心配される方がとても多いです。

しかし、乳児湿疹の多くはアレルギーが原因ではありません

もちろん、アレルギー体質が関係することもありますが、「湿疹がある=アレルギー」と決めつける必要はありません。

家庭でできるスキンケアの基本 〜洗う・すすぐ・保湿する〜

乳児湿疹のケアで最も大切なのは、特別な治療ではなく、毎日のスキンケアです。

基本は「洗う・すすぐ・保湿する」の3つです。

① 洗う

湿疹があると「刺激しない方がいいのでは?」と洗うのを控えてしまう方もいますが、毎日しっかり洗うことが大切です。

  • 赤ちゃん用の石けん・ソープを使う
  • しっかり泡立て、こすらずやさしく洗う
  • 首や脇など、皮膚が重なりやすい部分は意識して洗う

汚れや皮脂が残っている方が、かえって炎症を悪化させます。

② すすぐ

洗ったあとは、石けん成分を残さないようにしっかりすすぐことが重要です。

ここでも首や脇、顔まわりは洗い残し・すすぎ残しが起こりやすいポイントです。

③ 保湿する

多くのご家庭において、改善の余地が特に大きいのが「保湿」です。十分な保湿ができているでしょうか?

ちなみに、「どの保湿剤がいいですか?」とよく聞かれますが、ここはあまり重視していません。継続してこまめに保湿するためには、自分が気に入って使いやすく感じられるものがいいでしょう。強いて好みを言うならば、私は市販のベビーワセリンが一番だとおもっています。保湿効果が高く、刺激も少なめです。難点はべたべたして自分の服などにつくので、それが嫌な人は使いにくいかもしれません。

保湿剤の種類よりも大事なのは、量と回数です。大切なのは「しっかり塗る」「続ける」ことです。

保湿剤は「思っているより多め」に

多くのご家庭で見られるのが、保湿剤の量が少なすぎるという問題です。

目安として使われるのが「FTU(フィンガーチップユニット)」です。大人の指の先端〜第一関節まで、チューブから軟膏を出した量が「1FTU」です。1FTUでどのくらいの範囲が塗れるかというと、大人の手のひら2枚分です。

赤ちゃんの全身をしっかり保湿するには、8〜9FTU程度が必要になります。つまり1回の保湿につき、8~9回チューブから軟膏をムニュっと出す必要があるということです。

塗りすぎて悪くなることはありません。足りない方が問題になります。

なぜ湿疹をきちんとケアする必要があるのか

乳児湿疹をしっかり治療・予防する一番の理由は、将来のアレルギー予防です。

皮膚のバリア機能が壊れている状態では、食物などのアレルゲンが皮膚から侵入しやすくなります。これが、食物アレルギー発症の一因になると考えられています。

つまり、皮膚をきれいに保つことは、見た目の問題だけでなく、健康を守るためにも重要なのです。

それでも良くならないときは

「洗う・すすぐ・保湿する」をしっかり行っても改善しない場合、ステロイド外用薬が必要になることがあります

「ステロイドは怖い」と感じる方の多くは、局所投与(塗り薬や吸入薬)と全身投与(飲み薬や注射)の副作用を混同しています。塗り薬のステロイドを指示されたとおりに使うことで、重い副作用が起こることは基本的にありません。むしろ、必要な治療を避けて湿疹が長引く方が、健康にとってはマイナスになります。不安な点があれば、自己判断せず、かかりつけ医に相談してください。

まとめ

  • 冬は乾燥のため乳児湿疹が悪化しやすい
  • スキンケアの基本は「洗う・すすぐ・保湿する」
  • 保湿剤は“種類より量と回数”が重要
  • 湿疹ケアは、将来のアレルギー予防にもつながる

赤ちゃんの肌トラブルは、毎日の積み重ねで大きく変わります。「正しく知って、続ける」ことが何より大切です。

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