こんにちは、小児科医のかなけいです。
「アレルギーが怖いので卵を食べさせるのを遅らせています」
「アレルギー検査を先にした方が安心でしょうか?」
外来では、このようなお話をいただく機会がよくあります。
特に離乳食が始まる時期は、食物アレルギーについて不安になる保護者の方がとても多いです。最近はインターネットやSNSでも多くの情報を目にするため、かえって「何を信じればいいのか分からない」と感じることもあると思います。
今回は、食物アレルギーについて、
- 食物アレルギーとは何か
- 検査は必要なのか
- アナフィラキシーとは何か
- 日常生活で気をつけるポイント
について、できるだけ分かりやすくお話しします。
食物アレルギーとは?
私たちの体には、「免疫」という仕組みがあります。これは、ウイルスや細菌などから体を守る大切な働きです。ただ、この免疫が“頑張りすぎてしまう”ことがあります。
本来は問題のない食べ物に対しても、「危険なものだ!」と体が勘違いし、過剰に反応してしまう。これが食物アレルギーです。
症状としては、
- じんましん
- かゆみ
- 咳
- ゼーゼーする
- 嘔吐
- 下痢
などがあります。特に多いのは皮膚症状で、じんましんや赤みがよくみられます。
食物アレルギーは乳幼児に多い
食物アレルギーは、特に乳幼児期に多いことが知られています。
原因として多いのは、
- 卵
- 牛乳
- 小麦
の3つです。
一方で、成長とともに食べられるようになるお子さんも少なくありません。特に卵・牛乳・小麦は、年齢とともに改善していくケースが多いです。ただし全例において改善するというわけではなく、さらに、ナッツ類や甲殻類などは比較的長く続くことがあります。
「血液検査で陽性=アレルギー」ではありません
ここは、とても大切なポイントです。食物アレルギーは、「検査結果」だけでは診断できません。
実際の外来でも、
「血液検査で陽性でした」
「だから食べない方がいいですよね?」
という相談はよくあります。
しかし、検査が陽性でも、実際に食べて症状が出なければ“本当の食物アレルギー”とは限りません。逆に、検査の数値が高くなくても、実際に食べて症状が出ることもあります。
つまり、一番大切なのは、「何を食べて、どんな症状が出たのか」という実際の経過です。
そのため、症状がない段階で、むやみにアレルギー検査をすることは通常おすすめされません。検査だけで「陽性」が出てしまうと、本当は食べられるものまで避けてしまい、食事が偏ってしまうことがあるからです。
アナフィラキシーとは?
食物アレルギーで、特に注意が必要なのが「アナフィラキシー」です。アナフィラキシーとは、強いアレルギー反応が全身に起きている状態です。
例えば、
- じんましん
- 咳
- 呼吸が苦しい
- 繰り返し吐く
- 顔色が悪い
- ぐったりする
などの症状が、複数同時に出現します。
特に、
- 呼吸が苦しそう
- ぐったりしている
- 反応が悪い
といった症状は危険なサインです。アナフィラキシーは短時間で急激に悪化することがあるため、迷った場合は早めに救急要請を考えることが大切です。
日常生活でのポイント
新しい食品を始めるときは、
- 少量から始める
- 体調の良い日にする
- 平日日中に試す
この3つを意識すると安心です。
また、「アレルギーが怖いから卵を遅らせた方がいいですか?」と聞かれることがありますが、現在は必要以上に開始を遅らせないことが推奨されています。
離乳食を始められる時期になったら、少しずつ食べられる食品を増やしていくことが大切です。
もう一点重要なのは皮膚の状態を良好に保つことです。
皮膚と食物アレルギーは一見関係がないように思われるかもしれませんが、食品を口から摂取することができるようになる前に、皮膚からアレルゲン物質が侵入することでアレルギーが成立します。
皮膚から何かが侵入してくるというのは考えにくいかもしれませんが、湿疹やアトピーなどで皮膚が弱っている場合は起こりえます。
繰り返す湿疹などで悩んでいる際は、小児科や皮膚科へご相談ください。
まとめ
食物アレルギーは、正しく理解することがとても大切です。必要以上に怖がる必要はありませんが、「正しい知識を持っておくこと」は安心につながります。
- 検査だけでは診断できない
- 実際の症状が大切
- 新しい食品は少量から
- アナフィラキシーでは早めの対応が重要
このあたりを覚えておいていただければと思います。もし心配なことがあれば、一人で悩まず、かかりつけの小児科で相談してくださいね。


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