こんにちは、かなけいです。
最近、全国的に「百日咳(ひゃくにちぜき)」の流行が見られるようになってきました。
百日咳は細菌によって引き起こされる感染症です。「百日咳」という名前の通り、長く続くしつこい咳が特徴的です。一般的に、咳が長引くと「しつこい風邪かな?」と思われがちです。しかし百日咳の嫌な特徴として、新生児や2か月未満の乳児といった小さなお子さんが感染すると、命に関わることもある、注意が必要な病気です。
この記事では、百日咳の特徴や症状、どのように感染するのか、どうすれば予防できるのかといった内容を、できるだけわかりやすくまとめていきます。
大切なお子さんの健康を守るために、正しい知識を持つことはとても心強い味方になります。ぜひ最後までお読みいただき、ご家庭での対策に役立てていただければ嬉しいです。
百日咳の原因と感染経路
百日咳は、「百日咳菌」という細菌によって引き起こされる呼吸器の感染症です。
この菌は、私たちの気道、つまり鼻やのど、気管などに感染し、特徴的な長く続く激しい咳を引き起こします。主な感染の仕方は、感染者の咳やくしゃみ、会話のしぶきによる「飛沫感染」です。これは一般的な風邪と同様の感染経路です。 最も感染力が強いのは、症状が出始めてから最初の2週間程度です。この期間は特に周りにうつさないことを意識して、人との接触を避けたり、マスクを着用したりして対策をしてください。
どんな症状が出る?
感染してから最初の1週間ほどは、軽い咳、鼻水、微熱といった風邪に良く似た症状から始まります。この時点では、「風邪ではなく百日咳だ」と症状だけで区別することは難しいです。
数日から1週間ほど経つと、百日咳の特徴が目立つようになり、一気に咳が悪化します。さらに、発作のように咳が止まらず何度も連続して出る、咳の後に「ヒューッ」という笛のような音が息を吸うときに聞こえる、というのも百日咳の特徴です。 激しい咳によって、一時的に呼吸困難になり顔が赤くなったり、吐いてしまうこともあります。咳は夜に悪くなることが多いです。
特に注意が必要なのは乳児!
百日咳はすべての年齢で注意が必要な病気ですが、最も重症化しやすく、命に関わる可能性があるのが低月齢の新生児と乳児です。乳児の百日咳では、咳の途中で突然呼吸が止まってしまう(無呼吸)、顔が青紫色になる(チアノーゼ)といったことがあり、それによってぐったりして反応が弱くなることがあります。このような症状があれば当然すぐに医療機関を受診しなければいけません。乳児が百日咳にかかった場合、症状の進行が早く、自宅でのケアが難しいことが多いため、呼吸状態のモニタリング、酸素投与を行うために入院が必要になることもよくあります。
新生児や乳児で悪くなりやすい最大の要因は「まだワクチンを受けていない」ことです。日本では、生後2か月から百日咳を含めた5種混合ワクチンを受けることができます。しかし、生後2か月未満の赤ちゃんはまだ予防接種を受けられておらず、感染に対して非常に無防備な状態です。 この時期に百日咳にかかってしまうと、重症化してしまう可能性が高くなります。
百日咳の診断は?
風邪との区別が難しい病気なので、詳細な問診が重要です。咳の特徴について、いつから、どのような咳が、どのように変化してきたのか、詳しく聴取します。そのほかにも、周りで百日咳と診断されている人や、咳が長引いている人はいないかも重要です。
また、家庭内に新生児・乳児といったリスクの高い子どもがいるかどうかも、治療において大切になります。
検査としては鼻やのどを綿棒で拭って検査をする迅速抗原検査や遺伝子検査、菌に対する抗体を持っているかどうかを血液検査で見る方法が有効です。ただし、検査の正確性が100%ではなく、検査によっては日数がかかることもあるのが難点です。そもそも、検査体制が整っていない医療機関もあります。そのためリスクの高いお子さんでは、問診と診察から百日咳の可能性が非常に高い場合は、検査をしなくても百日咳を疑って治療を開始することもあります。
百日咳の治療は?
百日咳は細菌による感染症のため、抗菌薬(抗生物質)が有効です。それにより症状の悪化をおさえるだけでなく、体の中の菌を減らすことで、周りへの感染拡大を防ぐこともできます。
ただしやはり長引く咳が特徴的な病気のため、抗生物質を使ったとしてもすぐに症状がなくなるわけではありません。残念ながら、時間の経過とともに少しずつ良くなるのを待つしかないのが現状です。
どうやって予防する?
百日咳の予防で最も重要なのがワクチン接種です。
百日咳を含む5種混合ワクチンは生後2か月から接種が始まります。接種可能な月齢になれば速やかに1回目のワクチンを受けましょう。ちなみに、5種混合ワクチンは新しいワクチンであり、以前からある4種混合にも百日咳が含まれています。
2か月、3か月、4か月時と3回接種したあとはしばらく期間が空きますが、免疫が切れてくる1歳~1歳半、小学校入学前に追加接種をすることが勧められます。
また、一般的な風邪対策と同様、手洗いや換気を十分に行うこと、風邪症状がある人はマスクの着用や人との接触を極力控えるといった対策も重要です。
百日咳が流行しているタイミングでは、ワクチン接種以前の赤ちゃんを人ごみに連れていくことは、なるべく控えるようにしましょう。
なお、海外では妊娠27週~36週の妊婦さんにワクチンを接種することが推奨されています。妊婦さんへワクチンを打つことで、お腹の子に抗体が移行し、産まれてから初回のワクチン接種が行われる期間も、百日咳から子どもが守られることになります。日本でも妊婦さんの百日咳ワクチン(正しくは百日咳を含む三種混合ワクチン)の接種は可能です。気になる方は、産婦人科のかかりつけの先生に相談してみてください。
まとめ
ここまで、百日咳の基礎知識から、症状、治療、予防法まで、幅広くご紹介してきました。
百日咳は、昔から知られる病気ではありますが、今年大きな流行が見られることで再注目されている感染症です。新生児や乳児では今もなお命に関わる感染症として油断はできません。
正しい知識を身に着け、百日咳の流行が心配される今こそ、みんなで協力して、子どもたちの健康を守っていきましょう。
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