1歳を過ぎると、子どもは歩くことに慣れ、好奇心旺盛に動き回ります。
「赤ちゃんだった我が子が、もうこんなにも歩けるように成長したのか」と嬉しく感じる反面、事故のリスクが高まるため、心配も多いことでしょう。
子どもはケガをしながら成長していくという考えもありますので、「ちょっと頭をぶつけて泣いちゃった」とかなら問題はないのですが、病院に行くことになるような事故は防ぎたいです。
「子どもから目を離さないようにしましょう」というのはよく言われるセリフで、もちろん大事な考えですが、24時間子どもから目を離さないというのは現実的ではありません。目を離してはいけない場面では絶対に目を離さないこと、それ以外では多少目を離しても大丈夫なように、家庭内を安全な環境に整備することが大事です。
今回は、1歳代の子どもに多い事故とその予防策について解説します。
転倒・転落
防がないといけないのは高い所からの転倒・転落です。
特に事故が多いのは階段からの転落です。階段を上り下りするときは手をつなぐか、階段の下側に大人の方が付くようにしましょう。また、大人がいないときに階段にいかないよう、上下には柵を付けるようにしましょう。
命にかかわることがあるので絶対に避けないといけないのが、ベランダや窓からの転落です。「気づいたらベランダに出ていた」ということもありますので、子どもから離れないといけないときは、必ず窓を閉めて鍵をしてください。万が一ベランダに出てしまっても、柵を超えることだけは絶対にないように、ベランダに椅子や台などの登れるものを置きっぱなしにしないようにしましょう。
やけど
0歳代のやけどでは、子どもをあやしながら、コーヒーやカップ麺などを食べていてこぼしちゃうというのが多いですが、1歳を過ぎると自ら危険なものに触りに行く事故が多くなります。特に気を付けないといけないのがキッチンです。
ガスコンロに乗っている鍋ややかんに手が届いたり、炊飯器や電気ケトルのコードを引っ張って落ちてきたりといった事故があります。
キッチンの入り口には柵を付けて、子どもが入れないようにするのが重要ですが、万が一入ってしまったときのために、危険なものはなるべく奥の方に置いたり、コード類を整理したりすることも大事です。
誤飲
1歳児はなんでも口に入れたがる時期です。そのため、小さなものを誤って飲み込んでしまう事故が多く発生します。特に、ボタン電池や磁石、タバコの吸い殻、医薬品などは命にかかわる危険な誤飲事故を引き起こす可能性があります。これらは手の届かないところ、できれば鍵付きの引き出しにしまうのが良いでしょう。また、遊ぶおもちゃは対象年齢にあったものを選びましょう。
誤飲するもので多いのは、紙類、シール、包装フィルムです。サイズによっては窒息の可能性があります。窒息に至らなくても、水に溶けないシールや包装フィルムは、いつまでも破片が空気の通り道に残り、全身麻酔で摘出しないといけなくなることもあります。
なお、おもちゃの誤飲のおよそ4分の1は、親が近くで見ていたにも関わらず起こっています。「目を離さないようにしよう」だけでは防げないケースも結構ありますので、しまう場所に気を配ること、おもちゃの対象年齢を確認することが大事です。
歯ブラシ損傷
1歳を過ぎると、歯みがきを習慣づける時期に入ります。しかし、子どもが歯ブラシをくわえたまま転倒し、喉を突いてしまう事故が少なくありません。
言うことを聞いてくれることばかりではないのはわかりますが、命にかかわる事故ですので、歯ブラシを持ったまま歩き回らないようにし、喉突き防止の形状となっている子ども用の歯ブラシを使うようにしましょう。
また、子どもは大人の真似をして育ちますので、大人も歯ブラシ中は動き回らないようにしましょう。
交通事故
1歳児は急に走り出したり、大人の手を振りほどいたりすることがあり、交通事故のリスクが高まります。なるべく手をつなぐ習慣をつけられれば良いですが、少なくとも車通りのある道や駐車場では必ず近くに親が寄り添うことが必要です。
まとめ
1歳を過ぎると、子どもの行動範囲が広がり、事故のリスクが高まります。とはいえ、常に目を離さず見守るのは現実的ではありません。絶対に目を離してはいけない状況ではそのようにして、それ以外に関しては環境を整備することで事故を起きないようにすることが重要です。
最後に、よそのお家では特段注意が必要です。安全・危険のゾーン分けが普段のお家と違っています。子どもも普段の生活の中で「ここは安全」「ここは入っちゃダメ」というのが身についていることもありますが、よその家ではそれが通用しません。見慣れないものがあったりすると、ついつい手を伸ばして口に入れたりしてみたくなります。さらに、親せきや友人が集まると、近くに子どもがいなくても「誰かが見ているだろう」と思ってしまいことがあります。もちろん、ほかの誰かを頼れるときは頼って、適度に休息を取ることも大事ですが、基本的には「我が子の怪我は自分が守る」という意識が必要です。
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