子どもの熱や咳の原因となるマイコプラズマですが、今年は大きな流行がありました。
マイコプラズマはおよそ4年に1度の周期で流行が見られることから、「オリンピック肺炎」などとも言われています。
今回は、一般的な風邪との違いに注目しながら、マイコプラズマについて解説いたします。
マイコプラズマってなに?
一般的な風邪の原因は「ウイルス」です。一方でマイコプラズマは「細菌」に分類されます。ウイルスと細菌は似て非なるものであり、ウイルスの方が、症状が軽く済むことが多いです。治療についても、ウイルスは特効薬がないことがほとんどですが、細菌に対しては抗生物質(抗菌薬)が有効という違いがあります。
さらにマイコプラズマは、一般的な細菌と比べて構造が特殊で、有効な抗生物質(抗菌薬)も異なります。
このような特徴から、風邪やその他の感染症と区別して語られることが多いです。
マイコプラズマの症状
主な症状は、熱や咳ですが、その他に咽頭痛や頭痛、だるさなどが出ることもあり、症状からは風邪と明確に区別できないことも多いです。
風邪との違いとして、まずは年齢があります。マイコプラズマは5歳から思春期くらいまでが多く、乳幼児には少ないです。一方で風邪は小さい子から大人まで誰でもかかりますが、特に乳幼児は風邪をひく頻度が多いです。
次に、マイコプラズマの咳には特徴があります。痰を伴わない乾いた咳が特徴であり、数週間~1か月程度と長く続きます。
マイコプラズマ=肺炎?
「マイコプラズマ肺炎」という用語で語られることもあるので、「マイコプラズマに感染した=肺炎」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、肺炎に至るのはマイコプラズマ感染の中の数パーセントとされています。実際はマイコプラズマに感染したけれども肺炎には至らないケースもたくさんあります。
マイコプラズマの診断は?
一般的な検査としては、鼻腔を綿棒でぬぐって検査をする方法と、血液検査でマイコプラズマに対する抗体を調べる方法があります。
鼻腔をぬぐって採取する方法では、迅速検査という数分で結果が得られる簡便な検査がありますが、正確性が低いことが問題点です。核酸同定検査という正確性の高い方法もありますが、クリニックでは受けられない、もしくは外部に委託するために結果が出るために数日かかることもあります。
血液検査の問題点としては、発症早期だけで診断が付くこともありますが、回復期にもあらためて採血することで診断が付くケースもあり、最初の時点では判断できない場合もあることです。
マイコプラズマの治療
マイコプラズマは抗生物質(抗菌薬)が有効であるため、診断が付いた場合には処方されることがほとんどです。しかし実はマイコプラズマの多くは自然に良くなるため、絶対に抗生物質が必要というわけではありません。そのため、特に持病のない軽症患者に対しては、症状のある期間を多少短縮させるというメリットはあるものの、治療が行われなくても特に問題になることはほとんどありません。
治療薬はマクロライド系という抗生物質が一般的ですが、最近はこのマクロライド系に耐性をもつマイコプラズマも増えてきているので厄介です。
マイコプラズマの予防
感染の広がり方は、一般的な風邪と同じです。感染経路のメインとなるのは、感染者の咳やくしゃみ、近距離での会話によって、唾液のしぶきを浴びることによる飛沫感染です。これを予防するために、症状のある方はなるべく人との接触や会話を避け、マスクの着用をお願いします。また、病原体がついたものを触った手で、自分の顔を触ったり食事をしたりすることで感染が成立する接触感染もあります。そのため手洗いも予防のために重要です。
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