「タバコの煙が身体に悪い」ということはほとんどの方が知っていてあえて言うことではないかもしれません。ただ、子どもの受動喫煙の影響をどれだけ知っていますか?
今回は受動喫煙が子どもの健康に与える悪影響について解説します。少しでも禁煙のきっかけになりますと幸いです。
受動喫煙で増加する病気
受動喫煙により増悪・増加する疾患には以下のようなものがあります。因果関係がはっきりとわかっているものもあれば、その可能性があるという段階に留まるものもありますが、非常に多様な疾患に影響していることがわかります。
- 気管支喘息
- アレルギー疾患
- 乳幼児突然死症候群
- 感染症(肺炎など)
- 高血圧
- 心疾患
- 身体発育不良(低身長など)
- 発達の異常
まず代表的なものとして、気管支喘息やアレルギーを増悪することが知られています。さらに乳幼児突然死症候群のリスクが増加することもはっきりとわかっています。
私自身の研究で、受動喫煙は子どもの高血圧に影響し、しかも2歳という非常に早い段階からすでにその影響が表れていることが分かりました。
「まだまだ子どもだから少しくらい大丈夫」というわけではなく、乳幼児期からすでに受動喫煙の影響は表れます。
「子どもの前で吸わない」は不十分
もちろん、子どもの前で吸うよりは吸わない方が良いです。ただし、タバコを吸うときに目の前に子どもがいなければ受動喫煙が回避できるかというとそうではありません。子どもがいない時間帯にタバコを吸うと、その煙は目に見えなくても空気中に滞留します。そこに子どもが帰ってきてその空気を吸ったときに受動喫煙は成立します。
では、室外で吸ったときはどうでしょうか。これももちろん室内で吸う場合よりは受動喫煙の程度を減らすことはできます。それでも髪の毛や衣類についた粒子を家庭内に持ち込むことがあります。
同居のご家族が喫煙をしている以上、受動喫煙を完全に回避することは困難です。
子どもを守るためにできること
<禁煙>
なにはともあれ、お子さんのいるご家庭においては同居するご家族は禁煙することが望ましいです。これは、受動喫煙からお子さんを守るためだけではありません。当たり前ですが喫煙は、喫煙者自身の健康にとっても悪影響です。自分ひとりの身体ならばまだしも、子どもが産まれてこれから先何十年と守るべき存在ができたならば、自分も長く健康でいることを意識しましょう。
<室内での禁煙>
全面的な禁煙が難しい場合は、せめて室内での喫煙は止めましょう。せめて屋外の喫煙が許可されているところで吸うようにしてください。
<換気>
室内で喫煙をしてしまった場合、もしくは、室外で吸った場合も粒子を持ち込んだ可能性がある場合、大事なことは換気です。タバコの煙は長時間空気中に滞留するため、時間が経ったからといって消えるわけではなく、換気をしない限り長い間そこに居続けます。
タバコに限らず、ハウスダストやウイルスを除去する目的でも換気は重要です。
まとめ
受動喫煙による健康被害からお子さんを守りましょう。
子どもも自分も元気で生き生きとした生活を送れるように、今回の記事が禁煙へのきっかけになりますことを願っています。
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